ちょっとパチパチする
……てか、機動亀騎士団なんだね。え、ドダイタートルっていうの? まんま動く土台じゃん。すげーなこんなのも居るのか。
ともかく質問されたのであれば答えてやるとしよう。
ついでにこのどこか憎めないドラゴンも匿う方向で。
「えぇーっと。あー、こいつは私のペットですが何か?」
『はい! ペットっす! ゴロゴロにゃーん!』
「ド、ドラゴンが、ペット!? い、いや、卵から大事に育てたドラゴンであれば人に懐くともいう。この懐きっぷりを見るに、嘘ではなさそうだが」
おう。コイツ尊厳とかないのか。本当に猫のように甘えてきやがる。
おい爬虫類、冷たい鱗がこしょばいぞ。あとちょっとパチパチする。そういやサンダードラゴンだったなお前。
亀に仁王立ちした武装ドワーフはまだどこか警戒を続けたまま私と話を続ける。
「実はこのあたりで人を殺害したドラゴンの情報があってな。そのドラゴン、おとなしいようだが目撃情報と一致するのだ」
「あ。そういえばさっき野良っぽいドラゴンをぶん殴りましたねぇ。発情してたのか襲い掛かってきたんで。ほらこれ、そいつが落としていった牙です」
と、私は先ほどこっそり複製しておいたコイツの牙を見せる。
え? ドラゴンの牙とかレア素材だよ。念のため複製するに決まってんじゃん。
「む!? こ、これは間違いなくサンダードラゴンの牙!」
「ぶん殴ったら正気を取り戻したかのようで」
「ぶん殴った!? ドラゴンをか!」
「ええまぁ。いやぁ、イグアナ車の人にドラゴンだって言われたときはビックリでしたけどね。あ、逃げていきましたよ。ええ、ぴゅーっと。あっちの方向かな? 見えませんでした?」
嘘は言ってないぞ、主語は省いたが、逃げて行ったのはドラゴンじゃなくてイグアナ車である。うん。ちょっと分かりにくい? ごめんね、私国語苦手なの。この世界の人じゃないから。
「見ていない、が、確かにこの牙はそのドラゴン以外にドラゴンがいた証拠だな。疑ってすまなかった。よければその証拠、提供してはくれまいか? むろん十分な金は出す」
「買い取ってくれるなら――あー、いや。どうぞ、差し上げます」
売るつもりだったが、そういえばこれは複製品だったと思いとどまる。
複製品は売らない、と自分で決めたのだからこれは売れない。
仕方がないので善意の一般人として、証拠品をタダでくれてやるとしよう。
「……良いのか?」
「ええ、なんならペットからも毟り獲れるんで」
『ギギャ!? 姐さん!?』
「お、おう。……ほどほどにな?」
大丈夫だ、毟ったら治してやる……そもそも毟らずにコピーできるけどな!
と、びしっと私に向かって
「貴重な証拠、提供感謝する。名前を伺ってもよいだろうか?」
「行商人のカリーナです。……あ! ドラゴンぶん殴ったのはヒーラーっていう奴で! そこの車の中にいます! が、気難しいやつなんで! 顔合わさないほうが良いんで!」
やっべー、うっかりそのまんま名乗っちゃったよ。
とんでもないことをしでかすのはヒーラーであって宇宙一美少女のカリーナちゃんではないのだ。
「……了解した。我々はドラゴンの脅威が去ったかどうかを確認するとしよう。ロゼッタへ向かうなら手紙を届けてはもらえまいか? 配達の代金は払う」
「ええと。ロゼッタ、あー、はい、ロゼッタね。このまま道なりに行ったとこのなら」
「ああ。門番に渡してくれればよい」
お、話の流れから町の名前だと思ったけどビンゴのようだ。よかったー。
はー、あとでアイシアに地名聞いとこ。
『姐さん、自分に媚薬盛ったやつのことも言っといてくださいよ。自分のせいでドラゴンのせいにされたら竜王様に叱られるっす』
……仕方ないなー。でもカリーナちゃん面倒見がいいからこのくらいは聞いてあげよう。
――――――――――――――――――――――
(それはそうとして新作が書きたくなってきたりもしているのだけど、執筆時間がとれないんだよなぁ…!)
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