20話 名もなき月
今宵の月を
君も観ているだろうか
あんなに輝いてみえるのは
秋が訪れたせいなのだろう
こうなることは覚悟していたこと。
君が全てを打ち明けてくれた、紫陽花が綺麗に咲いていた雨の日に。
こころを決められなかったのは、自分なりの終止符を打っておきたかったんだ。
愛する人を失った悪夢のようなあの夏に。
君への決意を、盤石なものにする為……
すまない、
これは言い訳だね。
♢ ♢ ♢
連絡できずに
ごめんなさい
転勤が決まりました
凄く遠いところです
……一緒に行きます
どうか思い出を下さい
あなたとの最後の夜の
♢ ♢ ♢
今まで君は、愛を忘れてしまったぼくに、代償を払ってまでも寄り添ってくれていた。
『我が儘にはなりたくないと思いながら、わがままでいたいなんて矛盾を抱えているの』
知らずと君の、あの日の
あぁ、わかっている……
いくら後悔しても今更叶わぬことは。
最後に、
ふたりだけの思い出をつくろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます