第4話 出発

 ネルスの就任祝いから一ヶ月後、村の自兵団員五人が旅支度をしていた、その中に第三兵団長になったネルスもいた。


 五人共、鉄繊維てつせんい帷子かたびらの上に魔物皮の服を着て、各々おのおの籠手こて、槍に魔法石を施した魔槍を装備して、腰から布製の袋を下げ、比較的軽めの動き易い装備だった。


『団長、近い村から行くんですか?』

五人の中で、一番年長者っぽい男が聞いた。


 馬の両側に荷物をくくりつけながらネルスが、

『はい。よし、ふうーっ。まずはラズリー村へ行き、ハコノアの街へ向かいます。それよりロセさん、今まで通り名前で呼んで下さい、その話し方も』


『やっぱりそうだよな、急にはな。でもなネルス、いざって時はお前さんの命令で動くからよ』

一番年長者っぽい男はロセと呼ばれた。


 他の三人もネルスを見てうなずいた。四人の団員に頭を下げ、

『すいません、命令ではなく協力にしてもらえると…お願いします』


 小さい頃からネルスを知る四人は、顔を見合わせやっぱり感を出し、

『わかった、協力させてくれ』

『本当にネルスは』

『ですよねロセさん。少しは偉そうにしてもいい気がしますけどね』

『まぁ、ネルスもそうだけど総兵団長もだからな、親子揃って』


 

 ロセの言葉に団員がうんうんとうなずき、

『総兵団長も元国家防衛戦団団長もとこっかぼうえいせんだんだんちょうなのに、全然偉そうにしないですし』

『本当に強い人はそうなんだよ』

 

 話しながら動かしていた全員の手が止まり荷物を積み終えると、馬の手綱を引いて村の門へ向かった。


 門を出るとネルス達は馬にまたがり、ネルスは団員を見て、

『それではラズリー村に向かいます。隊列は僕が先頭で、アーシュさんロセさん、イザクさん、アイザムさんの順番に一列で進みます。途中魔物の群れ約ニ十体がいたと報告があった場所に寄ります、油断しないように行きましょう』

『了解』

 

 第三兵団はかぜ魔法を使い、剣と強化魔法を使うネルスを隊長に、強化魔法と体術を得意とする第三兵団最年長のロセ。


 ロセは総兵団長のグラウと、フィアレス村では一番古い付き合いだ。両腕両足に籠手こてを装備している。


第三兵団で一番獣化じゅうか魔法を使うアーシュ。


アーシュと同い年で、火炎かえん魔法を使うフィルダ。


第三兵団でネルスの次に若い、氷水こおり魔法のアイザムの五人で団を構成していた。


 フィアレス村の自兵団員は、皆体つきが戦闘体型であった。実に良く研ぎ澄まされている。

 

 ネルス達の村からラズリー村までは馬で半日の距離で、この辺りの村では鉄鋼業が盛んな村である。魔物と戦う為の武器も鎧も職人も揃っているが、ラズリーには自兵団が無く、ネルス達の村に鉄鋼品を渡す変わりに守ってもらっていた。

 

 村も街もそれぞれの特色を活かし自兵団を組織したり、近くで自兵団を組織しているところとやり取りをし、生活基盤と防衛を担っていた。ネルス達は辺りで一番大きな街ハコノアへ向かう途中に、ラズリー村から物資の運搬と引き渡し、そして魔物退治の依頼を受けていた。




 

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