桜並木の下で

星光かける

第1話 久しぶりの高校


「凛、お前の余命はあと三年だ」

 

 ある日、病院の院長である父、姫乃夕ひめのゆう先生から突然告げられた言葉。それは余命宣告だった。余命宣告を受けた時は何も感じなかった。だから特に変わったことはせず、中学を過ごした。


 だけど、高校に進学し、余命があと二年になると自分は周りの人たちと一緒に卒業できないのか、というよくわからない喪失感の襲われた。


 私は父に高校を休んで、好きなことを好きなだけさせてほしいとお願いをした。相当自分勝手だったと思うが、父は何も言わず「好きなように生きなさい」とだけ言った。


 次の日から私は私の思うように過ごした。だが、いつも私は一人だった。一人が嫌になって友達を作ろうと、また高校に行きたいと思った。






    そして——————















「姫乃君、入って来なさい」

「はい」


 ある日、私は君と出会った。


「今まで病気で入院していましたが、今日から学校に通える事になった姫乃凛ひめのりんです。よろしくお願いします」

三宅みやけの隣の席が空いていたな。そこに座ってくれ。一番右後ろだ」

「はい、よろしくね」

「よろしく」


 初めて挨拶を交わした時、優しそうな人だという印象を持った。






 次に会話をしたのは夜の公園だった。

一人でベンチに座ってこれからどうしようか考えていたら、突然話しかけられた。


「どうしたの?こんな時間に」


 振り向いてみると、隣の席の人だった。名前は三宅優みやけゆう君。


「家に居てもつまらないから出て来たの」


 と訳ありそうな嘘をついた。だけど彼はそんな事も知らないで、普通に心配してくれた。


「こんな時間に女の子が一人で外にいたら危ないよ?」


 と言われた。だから私は


「なら、君が私をどこかに連れ去ってくれる?」


 と言って帰った。


 次の日から私たちは何も無かった様に、学校でよく話す仲になった。

次の授業はなんだっけ?とか、教科書忘れたから見せて?とか。


 友達が居なかった私にはそんな普通の会話でも、とても楽しく感じられた。

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