極まる修行

『スバルや、そろそろ玉玉の修行を再開する

としよう。恐らく精神の成果は出ておるはず

じゃ。スバルもそうじゃろ?』


『うんっ…何となく俺もそう思うよ。ばあち

ゃん宜しくお願いします』


『ハイよ!其れではこっちにおいで』


 俺は何処となく自信があった。何故なら緊

張がなく冷静だった。


『ばあちゃん、修行時間は好きなだけしても

大丈夫なの?』


『それは構わないけど、最大日数は5日間が

限界じゃよ!それを超えての修行は身を滅ぼ

してしまうから、それだけは守ってくれ!ス

バル!』


『分かりました。ばあちゃん!よしっ!最大

日数5日間チャレンジだ!』


 俺の猛修行が始まった。何回も、何回も、

挫けず、自分に甘えず…ひたすら修行して行

くうちに感覚が慣れたせいなのか、連続で玉

玉を操っていた。しかも物凄い高速で、自分

でも手が見えないくらいに、そして5日間は

終わった…。


『5日間の修行はどうじゃったかのー?スバ

ルや?おやっ…顔つきが凛々しく見えるわい』


『ばあちゃん…やるだけはやった。あとは本

番のバトルにかけるよ!』


『それじゃ、行くのかい?』


『うんっ!行ってくる!色々ありがとう御座

いました。成山さんもありがとう御座いまし

た』


『スバル殿…己を信じ導く場所即ち心を忘れ

なき様!また会う事を楽しみにしております』


 俺はばあちゃん家を跡にした。駅まではそ

う遠くはなかったので歩いて向かった。もう

少しで駅に着く頃に思いがけない光景が目に

止まった。


 横断歩道を渡り始めたお婆さん。両手に荷

物を持ち、歩きづらそうに渡っていた。その

時…体勢を崩し、倒れそうになった瞬間…リ

ーゼントヘアーのバリバリヤンキーがお婆さ

んを支えこう言った。


『お怪我はございませんか?お荷物お持ちし

ましょう』


 その時…両腕を後ろに向けてしゃがみ…。


『どうぞ!』


『すまないねぇ』


 お婆さんはそう言って背中に寄り添い、ヤ

ンキーは横断歩道を渡った。俺は感動した。

見た目じゃわからないものだと…。俺はどち

らかと言うとヤンキーの人達は苦手な方だが、

なんかギャップが素晴らしかった。俺がその

場所にいたら同じことが出来たのだろうかと。

それにしてもヤンキーは近くに居なかったは

ずなのに、素早い判断、忍耐が感じられた。

精神の修行を行い、今まで感じて来なかった

ことが感じる様になった気がする。


 俺はその場の感動を跡にし、電車に乗り、

家に辿り着いた…。

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