第13話 小さな光
10月の中旬あたりに、来年から入社する企業から、11月の下旬に内定式を行うという案内が来た。そのプログラムには懇親会として内定者での会食があった。そのプログラムを見ると、相変わらず、予期不安的な発作が出たのだが、いつもと比べ少し軽かった。正直今回もどうせ発作が起こってしまうんだという諦めの気持ちでいたので、一口だけ食べたらあとは全て残すつもりでいた。
しかし、いざ当日の会食の時間になってみると、今までの地獄のような発作は起こらなかった。初めに少し、顔が熱くなってきたので、今回もダメかと思ったが、そのまま何事もなかったかのようになくなり、料理の味をしっかり味わいながら食べることができた。
最後に会食で料理の味をしっかり味わえたのかいつかわからないが、おそらく2,3年ぶりのことである。
私は、帰宅しながら涙を抑えることができなかった。これは、普通の人にとっては当たり前だが、私にとっては大きな一歩である。例えるなら、永遠と続く洞窟の中に一瞬外の光が見えたような感覚だ。
会食恐怖症が治ったわけではないが、終わりはいつか来るという希望が見えたことがただ嬉しかった。
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