第11話 隣にいたよ
本作は九話でいったん完結している。だが、先日続編を書いたのを機に、「そういえば、こんなこともあったなぁ」と昔のことを思い出したので、もう少し続きを書いてみようと思う。
あれは小学生の頃。
私の地区では、夏休みに「サマーキャンプ」というイベントがあった。
近隣の小学校から希望者が集まって、地元の山でキャンプ合宿をするというイベントだ。小学校の高学年から参加でき、兄が毎年参加していたのを見ていたので、私も高学年になると毎年参加していた。
当時は地元の山も整備されており、小さいながらもキャンプ場があった。班分けされた四~五人のグループで、テントを張ったり、火おこし体験をしたり、ご飯を作ったり。夜はキャンプファイアーをしたりして、とても楽しいイベントだった。
だが、ひとつ怖かったのが、夜の肝試し。
地元で慣れ親しんだ山なのだが、伝承が怖い山でもある。戦国時代に、
そんな山で夜に肝試しなんて、子どもの頃の自分は怖くてたまらなかった。いや、大人の今でも、夜にあそこへ行くのは遠慮したいのだが……。
もちろん、主催者の大人たちやボランティアの地元高校生たちが、オバケ役の
そんな肝試しも無事に終わり、テントの中で一泊した、次の日の朝。
グループの子どもたちと、昨日の残りのカレーを食べていた時である。隣にいた子が、私に話しかけてきた。
「昨日の夜、はつかちゃんの隣にだれか寝ていたよね?」
……え?
テントの中では、私を含め、グループの子どもたち四、五人が並んで寝ていた。その子が夜中、ふと目を覚ますと、隅にいた私の隣に知らない大人の男性が寝ていたそうだ。
「私、(主催者の一人の)〇〇さんかなと思って、そのまま寝ちゃったんだけど」
夜中に女子たちのテントに忍び込んで添い寝をする大人はそれはそれで大変怖くて危険で大問題なのだけれども。結局その子は、寝ていた男性がだれなのかはっきりとは確認していないようだった。
「あ、その人、わたしも見たよ」
しかも見たのは、その子だけではなく、テントにいた何人かが私の隣に寝ている大人を見たと言い出した。
とはいえ、
毎年参加していたキャンプだが、「隣に寝ていた」と言われたのは、この年の一度きりだった。
ほんとに、私の隣にいたのはだれだったんだろう……。
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