第4話
「ありがとう、ジャック。また私を守ってくれて」
ゴブリン二匹を始末した僕に、彼女は
「いや、こちらこそ。レジーナがモンスターを見つけてくれるから、助かってるよ」
「あら、そうかしら? 私、特別なことは何もしてないわ」
謙遜ではなく、本心からそう思っているらしい。
彼女には、いち早くモンスターの気配に気づく、という特技があった。おかげで毎回、こちらから先制攻撃できる。これは本当にありがたい状況だった。
「いやいや、冗談じゃなくてさ、本気で凄い能力だと思うよ。モンスター相手に勘が鋭いって、凄く便利だから……。冒険者デビューしたら、すぐに『うちのパーティーに入ってくれ』って、引っ張りだこじゃないかな?」
「ふふふ……。そうなったら嬉しいけど……」
レジーナの笑顔に、少しだけ暗い影が混じる。
「本当に私、冒険者になれるのかしら? お父様とお母様が、許してくれないかも……」
貴族の子女も通う騎士学院だが、彼らは彼らだけグループを形成しており、僕たち庶民と友だち付き合いをすることは滅多にない。教室で見かけるレジーナは、いつも庶民の女子たちと一緒であり、だから彼女も庶民の出だと思っていたが……。
こうして二人で森を歩きながら話してみると、言葉の端々に、育ちの良さが現れてくる。おそらくは下級貴族、あるいは庶民だとしても相当な金持ちなのだろう。
本人は秘密にしているつもりのようだが、わずかな時間に僕でも見抜けたくらいだ。彼女の友人たちもとっくに気づいており、わかった上で「気づかないふり」を続けていたに違いない。
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