第2話

   

 僕とレジーナは、騎士学院で学んだ五年間の総仕上げとして、卒業試験の真っ最中さいちゅうだった。

 試験内容は、毎年微妙に異なるらしい。今年の課題は、学院近くの森ダンジョンに入って実際にモンスター討伐を行う、というものだった。


「おおっ!」

「俺たちだけでダンジョンへ行くのか!?」

「本物の騎士や冒険者みたいだな!」

 課題内容が発表された時、教室では歓声が沸いた。

 やはり実戦というものは、良くも悪くも、それだけ重みがあるのだろう。

 騎士学院を卒業後、騎士になれるのは一握りだけ。冒険者組合に登録して、冒険者と呼ばれる何でも屋になる方が圧倒的に多いのだが……。

 騎士であれ冒険者であれ、モンスターと戦う機会は多いはず。ダンジョンのモンスター討伐という卒業試験は、卒業後の実態を強く意識させられるのだった。


 僕の場合、期待や興奮だけでなく、少しは「怖い」という気持ちもあった。

 なにしろ、教官たち頼れる大人抜きで、学生だけでダンジョンへ入るのだ。モンスターがウジャウジャいるところに突入するのだ。もしも力不足だったら、最悪の場合、命を落とすことになるだろう。

「卒業試験は、二人一組で受けてもらいます。パートナーを信頼しながら、慎重に進んでください」

 教官の説明によれば、試験時間は一組あたり三時間。その間に倒したモンスターの種類や数に基づいて、評価が決まるという。

「大丈夫、初心者向けの森ダンジョンです。出現モンスターも低レベルばかりですから、二人がかりならば余裕でしょう」

 学生たちを安心させるような言葉の後、それぞれの組み合わせが発表されて……。

「よろしくね、ジャック」

「うん、こちらこそ」

 僕はレジーナと引き合わされたのだった。

    

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