LIVE IN THE PAST——あの日への弔い——

枇杷 水月

第1話 序章

 時の流れは無情にも、地上からあやかしを消そうとしていた。

木々の陽気を栄養源としていた妖たちは、この国が高度成長期を迎えると住処を追われた。

 哀れんだ天照大御神あまてらすおおみかみは、霊域〈ETERNITYエタニティ〉を作り出し、人の世と妖の世を分断させた。

そして、玉依姫たまよりひめの子孫に、この霊域を司るよう命じた。

 絶滅の一途をたどっていた妖たちは、各地からこの霊域を目指して集まり、種族の繁栄を願った。

 それから数十年後、霊域に住む妖たちは、人間界で多発している、奇怪な事件の解決に手を貸してくれないかと人間から依頼を受けた。

身勝手な行動で妖たちの住処を破壊し、命を奪った人間に手を貸すなどまっぴらごめんだと突き放したが、人間の熱心な懇願に負けて妖たちは渋々協力することにした。

 

 警察庁から独立した極秘チーム——その名を知られていないどころか、どの公式文書にも名前が載らない——『PASTパスト』に所属している警察官の事をトラベラーという。

 現在活動しているトラベラーは1人だけ、活動内容はゴーストバスターだ。

それに妖がどうかかわるのかって?霊力が強い者にしか見えない妖たちは、どこにでも姿を隠して侵入することができる。また、人型に化けて人を誘惑したり、騙したりしながら、捜査に重要な情報を引き出してくるのが仕事だ。

心霊現象を調査して、いつの時代に亡くなった幽霊なのかを特定、亡くなった当時にタイムトラベルする——〈ETERNITY〉の統治者であり玉依姫の子孫は、タイムトラベルができる特別な力を持っている巫女だ。幽霊の魂に寄り添い癒すことで黄泉の国へと導く。

 それらをサポートするのがトラベラーだ——

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