第14話 別に
記憶が薄れていくことが傷の存在を忘れることのようであっても傷は消えない。
消えないんだよ。
どこにいても再会を期待してしまうし、期待しているからこそわかる私の心情。
大体ここに戻ってくる時はあいつのことを思い出している時だ。
思い出になりつつあるあいつの存在は美化されつつある。
付き合う前は付き合う妄想なんて何もできなかったのに、最近は別れたというのに彼の大人になった姿を想像してしまう。恋愛映画で結婚式のシーンがあれば彼を、子供が出てくるシーンがあれば彼との結婚生活を想像してしまう。
きっと未来の私がこれをみたらヤバい奴だと思うかもしれない。
他の人にも読んでもらいたくはない。
でもわかって欲しい。私はそれだけ彼のことが本気で好きだったのだ。若い時の好きなんて大したことないと大人は言うかもしれないが、この好きに理由なんてなくて。彼のことを私ほど好いている人間はいないだろうと胸を張って言えてしまうのだ。本当に困ったことだ。
こんなに好きになってしまうなんて、成人してから初恋をするもんじゃない。
後を引きずっていても、いずれ現れるのかもしれない次の男にも腹が立つ。
結局彼はお膳立てにすぎなかったのかと。彼の一生をそばで見てみたいとこれほど興味があるのに。もう会うこともできないのに彼との未来だけが鮮明に私の中で描かれていく2月である。
もう別れて3ヶ月、早いな。あっという間に季節は過ぎるのに半年も一緒にいれなかった。たった半年なのに。自分が悪かったと思う。恋愛相手というのはなんでも受け止めてくれる存在だと決めつけていた。ドラマのように。勝手な想像が私を苦しめることになり、相手にもなんとなく伝わってしまったのだろう。
受験なら何度もやり直せるのに。恋愛は同じ相手でやり直せないのか?
私は可能性があるなら試したい。それでも相性が悪いのなら、ううん縁がないのなら諦めますよ。これが未練なのか?ただの未練なのか?次が現れたら簡単に忘れられるのか?私はあの人がいい。無理なんだったら存在自体綺麗さっぱり忘れたい、忘れたいです。あの人に関すること全部。
こんなふうに思いを綴っていると辛くなってくる。やる気がなくなる。暗くなる。だからダメなんだ。自分をもっと大事にしなきゃ。私はあの人の顔を見ても堂々としていられない。今の私はあんなに好きな人を思うと悪循環になる。幸せを感じれる人と一緒にいよう。
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