人生RPG
進学校の劣等生
冒険の始まり
【人生RPG】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
突如としてゲーム界に現れた<QUEEN>によって発売された、完全マルチエンディングのRPGゲーム。内容は人間の人生をシミュレーションするもので全てがプレイヤーの選択に依存し、そのエンディングの種類は無限大。ランダム要素が非常に多く、ほとんどのプレイヤーが90歳まで到達できない。しかも、ポイントを割り振るステータスも無数にあり、シークレットステータスもあるらしい。発見されていない要素も数知れず。その自由度の高さから多くのプレイヤーに愛されてきた。プレイヤーの送った人生はあらゆる観点で評価され、未だ評価(S)を達成したものはいない。
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参考文献 Nukipedia
1 人間評価F-の勇者
ピロン
「おめでとうございます。あなたは全ユーザーの中で初めて評価(S ) を達成しました。実績解除(最高の人生)達成報酬・・・」
バンッ!「っっっっっーーー!!ついに、ついにやった、、」
(評価ランク S ランキング1位)
俺は画面に映し出された文章を見て柄にもなく部屋中を走り回って歓喜した。
俺は今世界の頂点にいる、とは言ってもゲームの話だが、それでも俺は今人生で1番の幸せを感じている。断じて俺の人生がつまらないものとかでは無い、決してない、決してだ、、。
この凄さは学校の奴らに言っても理解なんぞ出来ない。
なんてったって俺は何億を超える人間の頂点、そう、この【人生RPG】で世界で初めて評価Sをだしたんだ、俺の血と汗と時間と油の結晶。ごめんラード入ってしもた。
とにかく、このゲームは100年以上前に発売されてそれ以来何億人もの人間がこのゲームに挑戦したが、Sはどうしても不可能だった。
その難易度ゆえ、多くのゲーマー達が諦めていったが、1部のマニアはその夢に向かって走り続けた、そうこの人間評価F-の俺
2 勇者の日常
俺はあの後嬉しさのあまり死んだように眠った、とは言っても本当に死んだわけではないんだがな、いや、んな事分かっとるわい!、、
俺の周りにはボケもいなければツッコミもいない、自分のボケは自分で処理、いわば究極の地産地消、もちろん性も自分で処理、今日のおれもキレキレっと、
「勇ーー、ご飯よーー。」
「はいー、今行くー。」
着替えながらパソコンを見てみると画面には(クリア報酬をダウンロード中)と書かれている。
昨日からずっとあのままなのだ、キーボードを触ったり、電源を切ろうとしたりと色んな事をしてみたが、何をしても反応がない、ネットで調べてもそこにあるのはAVだけで何もヒットしなかった、しかし俺の性剣は過剰な反応をし、特大ホームランをはなった。
ネットに無い、そりゃそうだ、なんてったって世界で初めてなのだから。
帰ってきてからでいいかな、とりあえず急いで準備をしよう。
思わず笑みがこぼれる。
「お兄ちゃん、何にやにやしてるん?気持ち悪いでほんまに。」
「実はだなあ、、」
「行ってきまーす。」
1つ下の妹
関西の人間でもないのにあのコテコテの関西弁は好きなアイドルの影響で始めたものだが、今では完全にものにして、関西人顔負けのツッコミを披露してくる。
あの話し方学校でいじめられないといいが、俺みたいに。まあ妹はうまくやってるだろう。
* * *
俺は学校が嫌いだ、ここには人間の姿をした化け物がうようよいる。それも知能が著しく低い種族だ。なんて考えていると着いちまったようだ。
「おっはよー、勇者さまぁ、あれれ?勇者様の靴箱に雑巾が入ってるなぁーww、やっぱ勇者はちがうなぁww」
俺が本当に勇者ならこいつはとうの昔に倒してる、この害獣、
「何だよその目は、俺に歯向かうのか?なんてな冗談だよwwそんなビビんなってwwそれじゃあまた後でww」
俺はあいつの全てが嫌いだ。あいつは例えるなら
鳴かぬなら 残らず殺戮 ホトトギス
これには織田信長もニッコリ。
それに対して俺は
鳴かぬなら そういう種類の ホトトギス。
俺はあいつのすべてを嫌っている。ヘラヘラした笑い方、文字に起こすとwが大量に付いてそうなあの笑い方が特に嫌いだ。
勇者、勇者か、どちらかと言えば今の俺は賢者。あーあ、俺も【人生RPG】の主人公のような力が欲しい。
けどそんな力は無く、あるのは、特殊な名前だけ。しかし例えそうだとしても、他人にバカにされる筋合いはない。
* * *
「マジでお前の名前ダサいぞww魔法ww
魔法って書いて、まほ、は無理があるってばww
ほら魔法見せて見ろよーww」
「www」
「www」
「おい!お前ら人の名前を馬鹿にするのはやめろよ!」
「おいおいwwwもっと変な名前のやつが来たぞーww、なんだ勇者気取りかよww
勇者様w」
「かかってこいよw勇者様ww、てかお前南野と幼なじみらしいなw南野の処女、俺が貰っちゃおう...」
ボゴッ
「お前やりやがったな!」
バキッ!「お、おい!こいつらを止めろ!」
* * *
仲間の悪口はいい。だが俺のことは絶対に悪く言うな。べ、別に癒衣の事を庇ったとかじゃねぇからな、か、勘違いすんなよ。
ここで、需要のないツンデレもあることを証明。
なんで、あの時俺はこんな事に首を突っ込んだんだろう、全く余計な事をしたもんだ、今まで通り上手く、無視しとけばいいものの。
いや、そしたらあの子、魔法さん?君?が代わりにいじめられてに違いない。俺はなんであんなに、あいつらにムカついたんだろうか。んー、恐らく名前を馬鹿にしてたからだ。
たとえ、どんな名前でもそれはその人を証明する、大切なものであり、親から貰った宝物だ、それは俺が身に染みて感じている。
それに加え癒衣をバカにされ、、、。
別に後悔はしてない、アイツらとはあと高校3年間の付き合いだ。高校デビューを盛大にミスった結果がこれだ。
3年間、長いな、どれくらい長いかって言ったら、俺のエクスカリバーくらいか、
いや、まだこいつを扱える円卓の騎士は現れていないんだ、俺でも1日に2回しか使えないのに、頑張れば4回まで、ただ次の日ポジションが、、、なんてブツブツ言いながら歩いてると、もう教室、教室からはあいつらの笑い声が聞こえている。
ガラガラガラッ 「.....」
〖 勇者様カッコよすぎ笑〗〖 勇者気取りキモすぎ〗〖 先に手を出す勇者様乙〗〖 カピバラキモすぎ〗
この机も別に俺のものでもないしな、最後のに関しては完全にカピバラの悪口だし。
「おはよう、勇、またあいつらこんな事して」
ゴシゴシ
「お、おはよう、おいやめろってそんなことしたら、癒衣まで、、」
「別にやりたくてやってるからいいの。」
こいつは俺の幼なじみの
そんな奴がどうして俺なんかにかまうのか全く分からない。
「おいw、南野そんなやつほっといて俺たちと遊ぼうぜーーww」
「・・・」ゴシゴシ
「なんだよ、つれねえなー。おい、行こうぜ。」
金田に対しても強気。俺も癒衣のような勇気が欲しい。多分癒衣は幼馴染の義理と、誰にでも優しい完璧美少女になる為の踏み台として、俺なんかを助けてるんだ、そうに違いない。
「癒衣、なんで俺なんかを助けるんだよ、これは俺の問題だ。癒衣まで関わる必要はないだろ。」
「・・・」ゴシゴシ
「なあ、もうほっといてくれよ、癒衣、俺を助けてもなんもいい事ない..」
「そんな言い方ないじゃん!勇の馬鹿!」
あれ?俺なんか悪いこと言ったかな、、
教室の隅では
あぁ、癒衣もこんな気持ちだったのかな、後で謝りに行かないと。
机はすっかり綺麗になっていた。
* * *
「おいお前ら〜、先生の髪の毛が後退してるんじゃなくて、先生が前進してるんだぞ〜...」
帰りのHRの後の先生のつまらない話を聞き流していたら、
ピロン 〖 ダウンロード90%完了〗
ん?なんだ今の、ダウンロードって何だ?
てか、今空中になんか表示されなかったか?
周りを見渡して見ても、クラスのやつらには見えていないようだ。
今日も1日寝てたし寝ぼけてんだろ。
「きょーつけっ、れい!」「ありがとうございました。」
俺は金田達に絡まれ無いうちに帰ろうとしたが、珍しくあいつらはいないようだな。
今日は俺の毎週金曜の楽しみ、「チェーンマン」の発売日だ、今敵のチェンソーマンとの戦いが終盤を迎えていて、激アツなんだ、前回は唯一の武器のチェーンベルトを切られたんだっけ、、んでもってワキガさんが可愛い、いや美しいんだよな、名前はあれだけど。
俺はワクワクして本屋の列に並んだ。その時
「誰か!助けてください!、、、、、」
周りの人達は気づいていないようだが、俺は確かに聞こえた癒衣の声だ!
どこだ、恐らくこの路地裏!
そこには癒衣と金田達がいた。やつらは俺に気づくと、少し驚いていたがすぐにニヤニヤしだし、
「またお前か勇者wちょうどお前にはムカついてたんだよ、こいつで遊ぶのはその後だw」
俺は自分の無力さを心底選んだ。ピロン
〖 ダウンロード完了、ステータスを精算中
1000LP(ライフポイント)獲得、、〗
俺もどうして分かったか自分でも分からないが、無意識にステータス画面を開き、
ピロン〖 習得、サマーソルト、筋力20アップ、
スキルポイント200アップ、、〗
「死ねぇ!雑魚がイキってんじゃ、、」
〖 サマーソルトLV1〗
バキッ
金田の体が宙を舞う。他の奴らも何が起こったのか分からない顔をしていた。俺も何が起こったのか分からない状況だった。
ドサッ
ただアイツらを退けるには十分だったらしく、金田を置いて逃げていっていった。金田は相変わらずそこに伸びている。
ピロンピロンピロンピロンピロン ピロン ピロン
〖 金田(ヤンキー)を討伐 、経験値を獲得、
レベルアップ1→3、100LP獲得、「
うわぁぁ!
一気に頭に情報が流れ込んだ、こんな現実離れした状況でも、俺はやけに落ち着いている。異世界転生系のラノベを読み漁ったからだろうか。まるでゲームをプレイしているような感覚だった。
「勇.....だよね?その、、ありがとう。魔法ちゃんの時もそうだけど、凄い勇気あるよね。私もそんな勇気欲しい、魔法ちゃんの時もそうだけど、私見てるだけでなんもできなくて、うぅ....うぅ」
「そんなことないって、俺のほうこそ癒衣の勇気に憧れてた、まあ、お前が無事でよかった。」
なんてどこぞの赤髪みたいなセリフを吐き、癒衣を家まで送った。
「今日はほんとにありがと。気を付けて。おやすみ。」
「おやすみ」
俺はきれいな満月を見ながら今日起こった事を思い返していた...。まるで長い夢の中にいるような感覚....
ピロン
うわぁ!
このピロンってやつ心臓に悪すぎるだろ。
〖それでは通知音をオフにします。〗
なんだ!?頭に直接誰かが話しかけてくる。
〖私は案内人。あなたのサポートをします。私の名前は変更可能です。〗
名前か、、うーん、あっ!ムーンなんてどうだ、満月だしな。
〖わかりました、勇者様、これからよろしくお願いします。〗
〖ムーンのあなたへの好感度が上昇〗
ふっ、勇者様か良い響きじゃないか。
これはF-の俺が、Sになるまでの物語。
眩しいほどの満月に俺は冒険の始まりを感じた。
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