第27話 異空間部屋
優しいお父さんとお母さん。年を取ってしまって余り動くのが好きじゃない私を、いつもお日様の匂いのする
ある日、国の役人が村の
毎日泣き続けるお母さん。私もお父さんに会いたくて会いたくて、老いた体でヨタヨタと匂いを辿って行って、見つけてしまった。幾ら呼んでも返事をしてくれない。ボロボロになって冷たくなっていたお父さん。……それから暫くの記憶は私には無い。
あれからどれだけの年月が経ったのだろうか。お父さんを殺したあの国も、もう何度名が変わったか分からない。いつの間に私の尻尾は三本に増えていた。お母さんに瞳が奇麗な緋色だからとつけて貰った名前。今や邪気を放つ赤黒い眼の私には似つかわしくないだろう。
……あった。でも随分と朽ち果てた社だ。……ここにあるという
……あちこちを見て廻りましたが、確かに私の神気で作られている事には間違いありませんでしたね。
辺境伯家の書庫にあった古文書に記されていた「異空間部屋」を私なりに再現する事に成功して。それでもこぢんまりとした和室を作るのが精いっぱいでしたのに。
部屋が勝手に成長していったとでもいうのでしょうかね?
それにしても小さめですが、美しい庭園に社殿まで細かく再現された、随分と立派な神社ですね。何か見覚えがある様な気もしますが。
……さて、これ以上散策していてもキリがありません。もう起きているかも知れないポコちゃんを回収にいきましょう。
……え?誰かがポコちゃんとくつろいで居るようですが?
邪な気配ではありませんが、まるで私の神気を分けたように同じ?だから近づくまで気配が分からなかったのですね。
眷属など私には今までにも一人も居ませんが?刀剣を依り代にするだけの神モドキでしたからね。
考えていても仕方が無いと、社殿の裏手にある戸に向かって行った。
「……コン……コン……ごめんください」
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