東河原優希は足りない子。
海原シヅ子
12月7日
今日から日記をつけ始めることにした。母さんに言われたから仕方なく、だ。
SNSと違って誰が見るわけでもない。自由に書けと言われた。
「日記を書くことで自分を見直せ」だってさ、意味がわからない。
僕は東河原優希。中学3年生。男子。自閉症。アスペルガー。
教室に通い辛くなって、でも受験生だから、しょうがなく別室登校をしている。
本当は高校にも行きたくない。でも、行かなきゃいけないから。
自閉症っていうのは、なんかこう、みんなとうまく関われなかったり、みんなの気持ちがわからなかったりする障害だ。お医者さんに言われたのは今年の夏だけれど、前々からそんな気はしていた。
友達ができても、親しくなればなるほど、僕から離れていく。寂しかった。
忘れ物も多いし、怪我もよくする。我慢も苦手だ。話している話題もあっちこっちに飛んでしまう。きっとこの日記も、なんの接点もない話題に飛んだりするんだろうな。
もしも僕が小さい頃から療育を受けてたら、、とか、考えちゃう。
こんな辛くはなってなかっただろうなって、毎日考えるもん。
今日だって、前まで仲良かった元友達に睨まれた気がする。きっとあの子は僕のことが大嫌いだから睨んだんだ。怖かったな、あの目。前みたいに話すことってもうできないのかな。
眠たい。昨日は夜まで通話してたからなぁ。
僕には彼氏がいるんだ。男の子。涼くんっていうんだ。りょーくんって呼んでる。かっこいいんだ。
今日も通話して寝るんだ。今日の日記はこれで終わり。おやすみなさい。
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