第15話 地獄
どれくらいの月日が経っただろうか……。
三日月には、何年という長い間に感じるほど辛いたった1ヶ月だった。
毎日、話し合いを試みては拒絶される。
いざ話し合いとなれば、浴びせられるのは三日月を全否定するかのような罵詈雑言の嵐。
三日月は首を絞め続けられているような息苦しさと、何もしたく無くなるほどの身体の重さを堪えて仕事へと向かっていた。
仕事をしていても、休みの日でも、いつでもこの苦しさからは逃れられずにいた。
それでも三日月は、朱音に辛抱強く話し合いを試みた。
決して責めることなく、お互いが譲歩し合って決めよう、と自分の考えを彼女に伝えていた。
そんな三日月に対して、朱音がとる行動は大きく2つに別れていた。
1つは、三日月に対する不満をひたすら言い続けるパターン。
三日月のココが嫌だった……と、一方的に彼に罵詈雑言を浴びせる。
2つ目は、何も言わず、部屋にこもってからSNSに一方的な意見を書き込み、投稿する直前の画面をメールで送ってくるパターン。
これはもはや、話し合いにはならない。
自分の意見を書き連ね、ご丁寧に三日月の悪口を書いてSNSに上げるのだ。
それでも……。
それでも、三日月は諦めなかった。
そんな1ヶ月が続き、10回目の話し合いの日。
10回目にして初めて、朱音が自分から口を開いた。
「……なんで私の事、嫌いにならないの?」
三日月の幸せだと感じていた4年間は、一体何処へ行ってしまったのだろうか……。
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