第8話 勉強会でも女の噂💕をする男たち

 俺はヤーバス・ロダノ第139番伍長と、なんと、あんなことがあったのになんとか気を取り直して、来週の伍長順位戦に向けての勉強会を自分の部屋で急遽きゅうきょ開催することにした。



「魔術の基本はイメージ力である。頭の中のイメージが鮮明であればあるほど魔術は力強いものになる。そのことを肝に命じてこれからの文章を読んでもらいたい・・・・・・だって! なんか本では偉そうな感じて語ってんだな、ヘッケルト教授!」


 最初こそ、そうやってまだその本の本文に書かれている魔術についての話をしていたのだが、4、50分もするとヤーバス・ロダノ第139番伍長は本の表紙をまじまじと見ながらこんな話をし始めた。


「世界最強ツーツンツ王国魔術軍のメソッドを大公開! ・・・・・・しちゃっていいのか? シリーズ累計900万部突破の世界的大ベストセラー ・・・・・・だって! ヘッケルト教授って意外とガッポリ稼いでるんだな! ルーフェンス、お前、もしかしたら逆玉に乗れるかもしれないぞ! まあ、その前にめちゃくちゃ落ちぶれて十中八九あの女に捨てられちゃうんだろうけど・・・・・・。ほんと悪いことは言わないから、早く別れを切り出した方が身のためだぞ! 時間が経てば経つほどあの女のペースになっちまうんだから!」


 それからの俺たちは来週の伍長順位戦のことを忘れて、もう脱線しまくりだった。


「・・・・・・でも、ほんとに俺はまだ付き合ってる気はないんだけどなぁ」


「まだそんなこと言ってんのか? この部屋でついさっき試合開始寸前だったくせに! そんな言い訳通用するわけないだろ! もうお前たちが付き合ってるのを知らないやつなんてこの辺じゃ一人もいないんだからな! お前も付き合ってる前提で別れを切り出さなきゃ!」


「でも、さっきもすごい形相ぎょうそうでひどいって言われたし、別れなんか切り出したらどんな感じになっちゃうのかって思うと、なかなか勇気が出なくって・・・・・・」


「そりゃわかるよ、わかるけど、それでも先伸ばしにしてたら余計こういうのは言いづらくなっちゃうんだって、絶対!」


「うん、それは俺もわかってるけど・・・・・・ああっ! そうだ! ・・・・・・実は、なんか他にもちょっとまずいことがあって」


「なんだよ? まずいことって?」


 俺が思いきってついさっきの図書館での出来事を告白すると(だってジュナ・ヘッケルトには秘密にしておけとしか言われてなかったから)、ヤーバス・ロダノ第139番伍長はひどく興奮した様子でこんなことを言ってきたのだ。


「受付嬢のアテーシャ・ハミンにも言い寄られた? アテーシャ・ハミンといえば、ダメ製造機と噂されてる超有名ないわく付きの女だぞ! 男を甘やかしまくって何もできないダメダメ人間にするのが生き甲斐がいの最恐の悪女だって教えてなかったか? すまん! 俺のミスだ! お前を1人で図書館に行かせる前にちゃんと教えてやるべきだったな。本当にすまんっ!」


「いや・・・・・・そんなに謝ってもらったらこっちが困るよ」


「まあ、でもアテーシャ・ハミンの方はジュナ・ヘッケルトへの対抗心だけでお前にちょっかいをかけてきてるんだと思うから、ジュナ・ヘッケルトとの関係さえどうにかすれば、また嘘みたいに平穏な生活が戻ってくると思うんだけどなぁ」


「・・・・・・そういうもんなのかな?」


「そういうもんなんだよ、女って生き物はっ!」


 俺はこの時、女同士の対抗心について何も理解していなかったから、正直このヤーバス・ロダノ第139番伍長の話もいまいちよくわからなかった。


 だが、俺は結局女同士の対抗心がどれほど激しいものなのかを痛いほど理解することになるのだが、それはもう少しだけ先の話だった。



※※※

第8話も最後までお読みくださりありがとうございます!


ここまでで、俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)のことを応援してやろう、もう少し見守ってやろうと思われたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!(応援コメントやレビューコメントもお待ちしております!)


【次回予告】

第9話 トラバウト教授の㊙️講義その①

 

 トラバウト教授に剣術を指導してもらう伍長たち。

 そしてついに、俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)の番に!

 そこで俺はトラバウト教授に勝つためにある行動に出る! 

 果たしてどうなる第9話っ!


どうぞ続けてお読みくださいませ

m(__)m

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