二人目 彼からの忠言
……と、他に、必要なもんはあるか?
ああ、マガジンね。オッケ、オッケ。
んで、これはお前だけに伝える情報なんだが。
いや、金はいい。俺も守銭奴じゃないんでね、サービスだよ。
Y。お前、警察に狙われてるぞ。
あれは、五年前の仕事だったな。ほら、お前が路地裏で男を刺した。その前に、バーで仲良くなって。
面倒な仕事だったよな、お前向きじゃないっていうか。まあ、元々はOとNが引き受けたが、別の仕事が長引いて、回ってきた仕事だったからな、割も良かったし。
やることが多かったよな? まず、ターゲットと接触して、消息不明の女性の行方を聞き出して、その子を見つけて。
いや、俺も出来る限りのサポートしたよ。子飼いの奴をあのバーに潜り込ませて、アイツにはわざと度数の高い酒を飲ませて、酔いやすくさせて。
なんとか、聞き出せて……もう死んでたんだが。山に捨てられていたのを掘り返して、家族の元に帰せたからな。
まあ、こっちにお鉢が回ってきたところで、覚悟はしてたが、中々にきつかったぞ。……そんな顔すんなよ。俺にだって、なけなしの良心が残っているからさ。
ただ、時間がかかった。色々と気を遣っていたが、お前とターゲットの接触を、見ていた奴がいた。
そう、アイツの妹だ。当時は大学生だったな。大人びた顔してたが、あれは男慣れしてない感じだったな。
んで、その彼女が、今になって、お前のことを警察に告発したんだ。実行の直前、ターゲットを尾行していたのを、見ていたそうで。
そん時、どんな格好だったっけ? ……ああ、全然バーの時とはイメージが違うな。
何で気付いたんだろうか? 人の顔を覚えるのが得意だった? もしくは……お前に惚れていた、とか。
ありえないか。お前の顔、中の中だし、いわゆる雰囲気イケメンだし。
知らず知らずに口説いていたんじゃないの? お前の言動くらいしか、惚れる要素無いだろ。
一挙手一投足、映画の真似をしているだけなのにな。自分の中身がないからこそ、何でも出来るもんだと思っていたが、こういうパターンもあるって考えると、中々厄介だ。
で、警察の行動だが。彼女の話は半信半疑。大々的に指名手配はしないが、水面下でお前のことを探そうとしている。
ターゲットに名刺渡したよな? あそこに書いてあったのは、お前とは関わりのない大企業で、そこから足が付くとは思えないが、顔が割れてんのが痛い。しばらく、都心で仕事しない方がいいから、今回の依頼も北の方だ。
いっそのこと、アメリカに行ってみるか? 実は来てるんだよ、依頼が。
交渉次第では、大金が入ってくるぞ。やっべ、涎が出てきた。いい塩梅に話しまとめておくから、任せておけ。
お前、日本刀使えたよな? 持っていったらどうだ?
あちらさん、大喜びだろうな。SAMURAIが来た! ってな具合で。
……っと、話、長くなったな。無料なのは、ここまでだ。
ああ、出発するのか。じゃあな、いい仕事を。殺し屋さんよ。
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