第1000話 迷路
不審に思いながらも歩を進め突き当たりに到着。
今度は右折する。
「……」
また同じ。
狭い通路だけが先に伸びている。
他に道はない。
さらに前方。
次は壁の左右に伸びる通路。
また廊下?
何だ、どうなってる?
すっと、狭い通路ばかりじゃないか。
まるで迷路のようだぞ。
いったい、どういう構造なんだ?
何のために、こんな建物を?
よくは分からないが、普通でないことだけは確かだろう。
「……」
まあ、いい。
とりあえず、今は3階を目指すだけなのだから。
そう思い、ひたすら通路を進むも……。
通路の先には通路、また通路。
ただ通路が続くばかり。
本当に迷路なのか?
迷った足が、ついに止まってしまう。
「……」
この状況。
どうやら、真剣に考えた方がいいかもしれない。
ん?
前方の通路の先に気配?
こちらに近づいてくる?
さらに、後ろからも。
「……」
前も後ろも、ともに大した気配じゃない。
凄腕の冒険者でもなければ強力な魔物でもない。
意識を奪うことも難しくはないだろう。
ただ、事後のことを考えると……。
ここは、やはり避けるべきか?
なら、今すぐ戻ってT字路を曲がれば、遭遇も回避できるはず。
よし。
魔力を込めた足で一気に駆けT字路へ。
気配はまだだ。
間に合った。
通路を曲がり、さらに後退。
2つの気配は?
「……」
T字地点で合流した2つの気配が、その場に留まっている。
こっちにやって来るのか?
来るのなら……。
いや、来ない。
2つの気配がすれ違い、そのまま遠ざかっていく。
「……」
ひとまずは、回避に成功したようだ。
その事実に安堵を覚えてしまう。
が、実際のところ状況が好転したわけでもない。
そう。
俺はギリオンを探すため、オルセーのもとへ向かう必要がある。
こんな所で手間取っている時間はないんだ。
オルセーの気配は依然として階上。
ただし、いつまで屋敷内に留まっているかは定かじゃない。
接触を急がないと。
「……」
さっきの2つの気配は遠く離れたまま。
戻って来る様子も見えない。
これなら、さっきのT字路に戻れるな。
「この屋敷……」
人目を避けながら迷路のような空間を歩き続けること半刻。
それでも、目の前の景色は変わらない。
狭い通路だけが、ただ延々と続いている。
もちろん、1本道だけじゃない。
T字路に十字路も通って来た。
半刻も歩き、かなりの距離を進んできた。
なのに、まったく抜け出すことができない。
「いったい、どうなってるんだ?」
感知で知覚していた広さなんて、とっくに踏破している。
その何倍も歩いているはず。
なら、同じ通路を歩かされているのかというと。
通路に付けた目印を再び目にすることもない。
つまり、新たな通路を歩き進めていることになる。
「あり得ないだろ」
感知、探知で探れるのは生き物の気配のみ。
建造物の構造は探れない。
それでも人の点在地点から、建造物のおおよその見当はつく。
だから、この建物が貴族の邸宅並みの大きさだと想像はできていた。
かなりの広さがあると想定していた。
ただ、それは数分もあれば歩き尽くせる程度のもの。
半刻も新たな道を歩き続けるなんて、想像を超え過ぎている。
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