村の救助と裏方と!

「こちらです。」

 イットリが大きな家の前に立つ。


「・・・穴空いてるね。」

 千春は玄関の横に空いた壁の穴を見て呟く、すると玲が話しかける。


「ちはるおねーさん、これ塞いじゃっていい?」

「え?出来るの?」

「うん。」

 玲は雪女の能力を使い、壁を氷で塞いでしまう。


「はい!」

「おおー!これで風は入らないね、ありがとうレイちゃん♪」

 千春に褒められ頬を赤くして微笑む玲、ユラ達は友達が褒められてうれしいのかニコニコだ。


「よし、それじゃ行こうか。」

 千春は顔を引き締める、イットリは扉を開けると、千春達も家の中へ入る。


「うわぁ、結構がちゃがちゃだぁ。」

「魔物が入って来たんだろうね。」

 美桜と麗奈は家の中を見回し呟く、そして奥の方に進む、家の奥までは魔物は入って来なかったのだろう、壊された形跡もなかった。


「この先の部屋にいくつか分かれております。」

「酷い傷の人とか分かれてます?」

「はい、重症の者はこの奥の方に、この部屋は比較的軽傷ではあります。」

「ありがとうございます、サリナ、モリー、ユラ達についててあげて、無理そうだったらモリー教えてくれる?」

「わかりました。」

「了解でっす!」

 2人が返事をすると、空中からフワリと少女が現れた。


「私も手伝うわよ。」

「アルデア、見てたの?」

「楽しんでるかなーってイーナを見たら、雪遊びしてないんだもん、見るに決まってるでしょう。」

「そっか、あ、もしかしてお母様の所にも体置いてる?」

「ええ、何か伝える事ある?」

「うん、多分商業ギルドに助け呼ぶと思うから。」

「あー、わかったわ伝えておくわね、さ、あなた達行くわよ。」

「「「「「はーい」」」」」

 扉を開け、アルデアが先頭になり部屋に入る幼女5人、そして千春は開いた扉から中を覗く、村長が言う様に酷い怪我の者はいないようだ、千春はホッとした顔で廊下を進む、そして。


「この部屋とそちらの部屋に重傷者が、あとは・・・」

 そう呟きイットリは奥の部屋の扉を二つ見る。


「あっちは?」

「・・・もう手が付けられない者が。」

「そっちが先だね。」

 千春はそう言うと、廊下をズンズンと進む、頼子達も迷わず進む。


「お待ちを!もう手遅れなのです!上級ポーションであろうとも・・・助かりません!」

「だから私が直すんですよ!生きてるんですよね!?」

「・・・はい。」

「っしゃ!行くよ!」

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 聖女達は気合を入れて返事を返す。


「アイトネ、MP足りると思う?」

 部屋に入る前に千春がアイトネに問いかける。


『そのポーションなら足りると思うけれど、2人くらいチハルのマナ上限でも足りない子が居るわね。』

「そんなにひどいの?」

『ええ、あと2時間って所かしら。』

「アイトネ、今日の晩ごはん期待していいよ♪」

『♪』

 アイトネはニコッと微笑み軽く手を振ると、千春達の体がふわりと光りで包まれた。


「ありがとう、いつもと違うね。」

『上限アップと魔力回復速度アップ、魔法消費量ダウンもかけちゃった♪』

「うわぁ、今日の晩ごはんは気合いれないとだなぁ。」

 千春は嬉しそうに言うと、頼子たちも微笑み頷く。


「これで助けれないなんて嘘だよね~。」

「それはそうっしょ、なんてったって聖女が12人もいるんだよ?」

「女神もいるし♪」

 千春は皆の言葉に頷くと、一番酷いと言われた部屋へ足を踏み入れた。



-------------------------



「ルプ、見えたぞ。」

「おう、結構いるな。」

 人型で飛ぶロイロ、その横を風を切りながら空を走るルプ、背にはビェリーとコンが乗っている。


「13やね。」

 ビェリーは熱探知で雪まみれの森を見つめる。


「ロイロ、周りにはいないか?」

「うむ、魔力探知には掛からぬな、その周辺にいるヤツだけじゃ。」

「結構大きい猪ですね。」

「魔物じゃからな、野生の動物よりデカい、そして狂暴じゃ。」

「誤差だろ誤差、サクッと倒しちまうぞ。」

 ルプはそう言うと空から森の中へ飛び込む。


ブルルルゥ!

ブギュァーーーー!


「うるせぇ!」

 大きな声で鳴く猪の魔物へルプは風の塊をぶつける、2頭の魔物は吹っ飛び大木に体を打ち付けた。


「僕はあっちをやりますね~♪」

 コンは九尾の狐になり雪の中を駆けて行く、すると上空からドラゴンの鳴き声が響き、雷が落ちた。


「ロイロに負けてらんねぇな!」

「・・・負けてもいいやん、はよ終わらせてかえろー。」

「そいつら収納しといてくれ。」

「ほいよー。」

 ビェリーはニョロニョロと雪の上を滑り魔物を回収する、ルプは軽く笑い森の中へ駆け込んだ。



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「って感じね。」

 説明を終わらせたアルデアは、村の様子をマルグリットの伝える。


「あの子達は、本当にトラブルが好きね。」

 クスッと笑うマルグリット、だが、心配する様子はない。


「アルベル、セバスを呼んで頂戴。」

「はい。」

 マルグリットは執事長のセバスを呼ばせると、窓を開ける。


「ラティ。」

 マルグリットの声を聞き、姫桜の上からオルニス鳥のラティが部屋へ飛び込んでくる。


「クィッ?」

「手紙を商業ギルドのメイソンに届けてくれる?」

「クィッッ!」

 マルグリットは椅子に座り、手紙を簡単に書くと封をする、そしてラティに渡すとラティは手紙を咥え外へ消えて行った。


「あとは~・・・。」

 マルグリットは声を掛ける者の名前を呟きながら、これからの行動を考える。


「復興はメイソンに丸投げでも良いわね、陛下とエンハルトにも・・・」

 ブツブツと呟くマルグリットにアルデアがクスッと笑う。


「メグ、眉間に皺が寄ってるわよ。」

「あら、もう、チハルにまた美容液買ってもらわないといけないわね。」

 クスッと笑い冗談を言うマルグリットにアルデアも微笑んだ。



-------------------------



「こっち終了!そっちは!?」

「傷塞いだよ!」

「こっちも手繋がった!」

「ウチ隣の部屋行って来るねー!」

「まかせた!こっち終わったらすぐ行くから!」

 千春が治療で奔走しているその頃、王宮では――。

 マルグリットは既に人員と物資を整え、全てが滞りなく動き始めていた。





 

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