餅つき大会はっじまるよぉ!
「はい!」
「はい!」
「へい!」
「はい!」
「はい!」
「へい!」
「ちょっとぉ!ヨリ!変な声入れないでよぉ。」
美桜と麗奈が餅つきをし、頼子は水を付けながら合いの手を入れていた。
「ミオ、休憩したい。」
「次代わる人~♪」
「はーい!」
「はーい!」
ユラとイーレンが手を上げる、ユラとイーレンは子供用の杵を手に臼の前に立つ。
「ユラちゃん先にお願い!」
「うん!・・・はい!」
「はい!」
「いいねー、がんばれー。」
おこちゃま2人は楽しそうにモチをつく。
「ただいまー。」
『ただいまー。』
千春とアイトネが庭に現れると青空が声を掛ける。
「おかえりチハル。」
「お?ユラとレンが餅つきしてんの?」
「今始めた所だよ、モチ米手に入った?」
「うん。」
青空に言われ千春はアイテムボックスからモチ米を取り出す。
「ジャシール国どうだった?」
「普通の国だったよ、まぁモチ米買っただけだし良く分かんないけど。」
『チハルこれも水含ませて蒸すのよね?』
「うん、お願い。」
アイトネはウキウキでモチ米の下ごしらえを魔法で始める。
「ただいまー。」
「おかえりなさいおかぁさん。」
「千春もおかえりー。」
「おばぁちゃんとおじぃちゃんは?」
千春が言うと後ろから千春の祖父母、源治と文恵が入って来る。
「チー、来たぞぉ!」
「チーちゃん♪」
「おばぁちゃんいらっしゃい!」
千春は文恵に抱き着き満面の笑みで答える。
「春恵、荷物良いかい?」
「はーい。」
春恵は源治と文恵の荷物をアイテムボックスから取り出すとテーブルに並べて行く。
「うわぁ!これおせちの具!?」
「そうだよ、こっちでおせち作ったかい?」
「んにゃー!作って無ーい!」
何故か嬉しそうに答える千春に文恵も笑みが零れる。
「じいさん久しぶりだな。」
「おう!ルプ!アレ持って来たぞ!」
「お!マジか!」
「あれってなんなーん?」
「酒だよ酒、じいさんのおすすめの酒だ。」
ルプは問いかけるビェリーに答える。
「ツマミも買ってきてるからな。」
「流石じいさん!」
「今日も呑めるばい!」
「楽しみです!」
「うっきぃ!」
ビェリー、コン、サンジュはピョンピョンと跳ねながら喜んだ。
「モチ出来たよー!」
頼子が声を掛けると文恵がのぞき込む。
「モチつきしてたのかい?」
「うん。」
「へぇ~、おばあちゃんも手伝って良いかい?」
「汚れるよ?」
「なーにいってんの、任せて頂戴。」
文恵はそう言うと庭に出る、そして熱々のモチをひょいと持ち上げ部屋に入り台に置く、そして餅とり粉をまぶすと端から握るように丸く千切る。
「ほい。」
「はーい。」
気付けば春恵が横に立ち餅をコロコロ転がし丸く形成していく。
「チーちゃん餡子はあるかい?」
「あるよー。」
「餡餅も作ろうかね。」
「作る!」
「餡子をこれくらいの団子にしてくれるかい?」
「ほーい。」
「チハルおねえちゃんユラもてつだう!」
「私も手伝います!」
「イーナもー!」
「この餡子をこれくらいの団子に作ってココに並べてね。」
「「「はーい!」」」
千春が作った餡団子を春恵は受け取るとモチで包む。
「おぉ・・・おかぁさん上手。」
「そりゃそうよ、毎年やってたもの。」
「そなの?」
「老人会の人達が餅つきを毎年するのよ、そのお手伝いよ♪」
餅を包み摘まみながら餅を丸くし並べる春恵。
「おいしそう!」
「おいしそうだねー!」
「おいしそうなのです!」
「もうちょっと作ったら味見しよっか(コソッ)」
「うん!(コソコソ)」
「いいの?(コソコソ)」
「いいのです?(コソコソ)」
「だから頑張って団子つくってね。」
「「「はーい!」」」
子供達はそう言うと真剣に団子作りを始めた、外では手の空いたパパさんズ達が餅をつき始める、それをいつの間にか来ていたエーデルとホーキンが見学している。
「あれ?ミオ、エーデルさん来てるよ?」
「うん、一緒に年越ししたいから呼んだ。」
「お仕事良いの?」
「いいらしいよ?なんかうちらのお願い優先する指示きてるらしいから。」
「何それ・・・初めて聞いたわ。」
「あ、それ私も聞いた。」
横で聞いていた大愛がトラディの事を思い出しながら話す。
「なんか聖女様の申し受けが最優先って指示来てるらしいよ、うちまだ聖女じゃないんだけどね。」
「はやく聖女なりなよ。」
「そのうちなるっしょ、誰かさんと違って諦めてっから。」
「ほう?誰かさんって誰じゃい?」
大愛を腰で押しながらジト目で見る麗奈。
「ほら、おばぁちゃんのモチ受け取って形作って~!」
「おばあちゃん早い!」
「モチが固くなる前に千切らないとねー。」
文恵はそう言いながらも次々と餅を千切っていく。
「鏡餅は作ったのかい?」
「鏡餅は買って来たよ?ミオママが。」
千春は別のテーブルにぽつんと置かれた鏡餅を指差す。
「どうせならついたお餅で作りたいねぇ、餅はまだあるんだよね?」
「うん、今最速で蒸してる、魔法でやってるから多分次つき終わったらすぐ次始まるよ。」
「そうかい、それじゃ次は鏡餅を作ろうかね。」
文恵は餅を千切り終わると、パパさんズの所へ移動し餅を返し始めた。
「おばあちゃん凄いね。」
「こういうのってやっぱり年配者が上手だよねぇ。」
千春達が話をしていると春恵が門の方を見る。
「アイトネ様・・・。」
『あら、もう来たの?』
「お呼びしたんですか?」
『えぇ、餅つきしてるのって言ったら来ても良いか聞かれたから、良いわよって返信したもの。』
アイトネはそう言うと出来たての餡餅を口に入れる。
「あー!アイトネつまみ食い!」
『んー美味しいわぁ♪』
「もぉ~・・・私も食べよ、はいユラ、レン、イーナ。」
「「「わーい!」」」
「チハル!ウチも食べたい!」
「私も!」
「えー!ずるい!私も!」
「あんまり食べると蕎麦食べれなくなるよ?」
「そんなに沢山食べんわ!」
「そそ、味見味見♪」
千春達は出来たての餡餅を食べていると春恵が門を通り帰って来る。
「こんにちは~♪」
「ウカ様だ!」
「こんにちは。」
「コノハナサクヤヒメ様も来たんですか!?」
千春は2柱を見て驚く。
「お呼ばれしたから来ちゃいました♪」
「良いんですか?あっち居なくても。」
「日付が変わる前に戻るわよ♪」
「戻らなくても大丈夫ですけどね、眷属が見てますから。」
そう言うと2柱はつきたてのお餅を見つめる。
「凄いわね。」
「はい、これは中々・・・良いものです。」
2柱はつきたてのお餅を見つめながら呟く。
「・・・餅がですか?」
「えぇ、魔力が豊富だわ。」
「日本では中々ここまでの神供は無いわね。」
「ただの餅だと思うんですけど・・・。」
「千春ちゃんこれ少し持って帰っても大丈夫かしら。」
「はい、沢山餅つきしますから。」
「ありがとう、何かお礼しないといけないわね。」
「え?いや、大丈夫ですよ?」
千春は餅くらいで何故と思いながら首を傾げつつ答える。
「あ!あの杵、姫桜の枝を使ってるのね!」
「あぁ~、だからなのね。」
「・・・えっと、何か特殊効果付いてます?」
「神気が付いてるわ。」
「・・・アーイートーネー。」
『美味しいわよ?』
「ちがぁぁう!なんでそんな効果ついてんのぉ!?」
『人には影響ないもの♪』
「神様には?」
『神気が上がるわね。』
「上がるとどうなるの?」
『元気になるわ。』
「それだけ?」
『えぇ。』
「・・・んじゃいっか。」
良く分からない千春はそう呟くと、その事は忘れる事にした。
「次つき終わったよ!チハル!」
「はーい!ウカ様!サクヤ様!ゆっくりしてくださいね!」
千春はそう言うと文恵の所に行く。
「お母さん、アレ作ったわよ。」
「はいはい、それじゃそっちに少し分けるから。」
文恵はそう言うと握りこぶし二つ分ほどの塊を分ける、春恵はそれを軽く千切ってはボウルに入れ混ぜる。
「お母さんそれ何?」
「からみ餅よ。」
「大根おろし?」
「そ、あとはポン酢で味付けしたツユを掛けるの。」
「へぇ~・・・美味しそう。」
「美味しいわよ、食べる?」
「食べる!」
「先にお出しするから待ってね♪」
春恵は綺麗な器にからみ餅を入れると日本の2柱に渡す。
「どうぞ、お口に合いますか分かりませんが。」
「美味しそう♪」
「いただきますね。」
2柱はそう答えると餅を口にする。
「・・・美味しいわ。」
「これ食べたの知られたら他の管理者から文句言われそう。」
「そうね、お餅も天照大御神様と迦具夜比売命だけにしましょうか。」
コソコソと話す2柱、千春にも聞こえたが聞こえない振りをする。
「千春、外みてみ。」
「ん・・・ん!?」
新たにモチをつく者を見ると、フン!フン!と力強く杵を振る屈強な虎男と腕捲りをしムキムキの筋肉を見せた男が餅をついていた。
「エーデルさん・・・ホーキンさん・・・ヤベェ。」
「杵壊れない?」
「壊れてもアイトネ様が修理するんじゃね?」
『壊れないわよ?』
「へ?壊れないの?」
『えぇ、ロイロが叩きつけても折れないくらい強くしてるわ♪』
「・・・それって破壊不可って事?」
『そう言う訳じゃないけどぉ~、アレを壊せるのは私かモート、あとはソコの2人だけね。』
「全員神様やん!」
千春はそう言うと餅つきを見つめる。
「ま、いっか。」
「いいんかーい。」
頼子も横で見ながら手を千春に当て突っ込んだ。
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