アイテムボックスと言えば!

「チハル連れてきたぞ。」

「いらっしゃーい♪」

 エンハルトは寛ぐ千春達に声を掛ける、後ろからはエーデル、ホーキンと次々に男連中が入って来る。


「うわっ!ステルさんも来たの!?」

 青空はびっくりしながらステルに話しかける。


「はい、お父様にご挨拶出来ればと。」

「トラディさんも?」

「はい、お父様はどちらへ?」

「今千春の勉強部屋で話してますよー。」

「待たせてもらおうか。」

「どぞどぞー。」

 皆はソファーから立ち上がり男性陣をソファーに座らせる。


「お父さん達ご飯食べてないから作っとく?」

「チハル、同じメニューなら私達が作りますよ。」

 サフィーナはそう言うと侍女達に指示を始める。


「チハル!儂らは呑んでも良いじゃろ?」

「えぇ~?」

「俺達は別に構わねぇだろ、話する事もねぇしな。」

「そうばい?」

「そうですね、僕たちはこれと言って話すこともないですから。」

「しゃーないなぁ。」

 千春はそう言うとアイテムボックスからお酒を取り出す。


「あ、残機これだけだ。」

 千春はウイスキー1本と日本酒1本取り出しテーブルに置く。


「足りる?」

「ビェリー、アレはあるか?」

「あるばってんアレも残り少ないばい?」

 ビェリーはそう言うと影からジブラロールの村で作られる米酒を取り出す。


「今から注文したら間に合うかなぁ。」

 千春はスマホを弄り注文画面を開く、そして間に合うと分かりポチポチ注文を入れる。


「はーい最終便間に合いましたー、届いたら渡すよ。」

「儂らは良いが、いつものパターンじゃと父親達も呑むのではないか?」

「ヨリ父の時も酒で解決させてただろ。」

「そういやわっちらも一緒に飲んだばいね。」

「あ~・・・そういう感じ?」

 千春はエンハルトを見るとニコッと笑う。


「はいはい!今頼んだのは好きに飲んでくださーい。」

「千春、私ら何するの?」

「なにも?カノンなにかやりたい?」

 花音は千春を見つめたまま止まっている。


「かのーん、大丈夫?」

「・・・今の魔法?」

「あ、コレ?」

 アイテムボックスをまた開き中身を取り出す千春。


「うん、アイテムボックスって言う魔法だよ。」

「すごっ!私も使える?!」

 千春は花音を見る、そう、見るのはあそこだ。


「・・・見込み在り!」

「へ?」

 千春は嬉しそうにサムズアップし親指を見せ満面の笑みだ。


「使えるって事?」

「可能性高し!」

「千春ぅ、ほんとにソレ根拠あんのぉ?」

「だってぇ、実際使えるのそうだし。」

 千春は花音の胸を見ながら呟く。


「やる事ないなら温泉入る?」

 美桜が言うと麗奈も頷く。


「お風呂はいってサッパリすっべー。」

「そだね~。」

「こっち温泉あるの!?」

 花音は驚いた顔で皆を見る。


「あるある、そっちの部屋の奥にあるよ。」

「あ、カノン着替えなくね?」

「着替えの予備は常備してまっせ!」

 千春はまたアイテムボックスを開き新品の下着を取り出す。


「それじゃお風呂行こー!ハルト、今日のごはんはブラックホーンブルのフルコースだから楽しんでね!」

「チハル・・・カノンに俺達の紹介はしないのか?」

「ん、どうせ後でみんな集まったらするでしょ?後で良いじゃん。」

 千春はそう言うとカノンを連れ浴室に向かった。



-------------------



「いいの?あの人達ほっといて。」

「いいのいいの、メインは新パパさんズとの顔合わせだもん。」

「そうそう、うちらの旦那様紹介だし。」

「どうせみんなで飲み食いして仲良くなるよ。」

「いつもの事だ。」

 ケラケラと笑いながら皆は服を脱ぐ。


「・・・脱ぐの?」

 嫌そうに呟く花音。


「服脱がないとお風呂入れないじゃん。」

「あ、人前だと脱げない感じ?」

「なれるなれる!うちら毎回皆で入ってるし。」

「そうそう、ばーんって脱げばいいんよ。」

 日葵と青空はそう言うと服を勢いよく脱ぐ。


「・・・まぁ、うん。」

 観念したのか花音は服を脱ぐ、そして。


「・・・え゛?」

「え!?」

「へ!?」

「は?!」

「なんで!?」

「あー・・・変だと思ったんだよ、カノン中学んときウチより大きかったよね。」

 花音が服を脱ぐと胸にはコルセットの様な物がつけられていた、そしてそれを取ると。


「・・・メロンか?」

「いや、ちょっと大きいグレープフルーツくらいか?」

「メロンまでは行かないでしょ。」

「・・・うらぎりもの(ぼそっ)」

 皆はそれぞれ感想と言い千春は悔しそうに呟く。


「カノン今サイズなに?」

「・・・F。」

「え~び~し~でぃ~い~えふぅぅぅ!?」

「やめてぇぇ!これコンプレックスなのぉぉぉ!」

 胸を手で隠し悶える花音。


「なんでおっぱい潰してんの?」

「野郎共の視線が嫌!」

「あー。」

「カノン・・・コンプレックスってのはこういうのを言うんだよ?」

 美桜はそう言うと千春を見る、千春は無い胸を張り踏ん反り返る。


「ドヤ!」

「かわいいねぇ。」

「うん、希少価値だわ。」

「さ、みんな風呂入ろー。」

 ドヤる千春の両腕を頼子と美桜がホールドし浴室に入ると皆は体を洗い湯船に浸かる。


「ん”~~~~!」

「ぎもぢぃぃぃ~。」

「ヴぃぃぃぃ。」

「ヨリ、ミオ、ダイア、声汚い。」

「失礼だな!」

「出るでしょぉ?」

 温泉に浸かるJK軍団、花音も湯船に浸かると声が出る。


「んぁぁ~~~きもちぃ~。」

「でしょぉ、これチハルの専用温泉なんだよ。」

「マ?」

「マ。」

「流石王女様。」

 やっと笑顔になった花音は千春を見る。


「今週末は旅館行く?温泉旅館も作ったんだよ。」

「マ!?」

「ま!それより・・・おっぱいって浮くんだね。」

 花音の胸を見る千春。


「やめて!見ないで!」

「千春今サイズ幾つ?」

「Aだが?」

「すまん。」

「あやまるなぁ!!!!!」

 キャッキャと騒ぐJK、ふと花音が千春に問いかける。


「チハルさっき言ってたアイテムボックスの魔法ってどうやるの?」

「ん!カノンには無理!」

「へ!?さっき見込み有るって・・・。」

「いや、無いねぇ、あの魔法おっぱい小さい人しか使えないんだよ。」

「うそぉ!?」

「カノン、千春が言ってるだけだから。」

「でもさーヨリ、実際使えるのって5人じゃん?」

「チハルでしょー、サフィーちゃん、アルデアちゃん、ハルママ、あとは?」

「冒険者のユーリンちゃんだね。」

「あ~・・・うん、確かに・・・小さいな。」

「ヨリとレナとダイアは良いじゃん!影に入れれるし!」

「確かに収納は便利すぎる。」

「でも日本じゃ使えないからなぁ。」

 千春や頼子達は残念そうに呟く。


「話変わるけどカノンって彼氏いる?」

「いないよ?」

「好きな人は?」

「んー、好きな人ぉ・・・サッカー部の山路君?」

「なんで疑問なんだよぉ。」

「いや、なんかこうアイドル的な感じで応援してるだけだからなぁ、さっき来た人達って。」

「おう!うちらの未来の旦那だ!」

「ま、彼氏だね。」

「でもみんな婚約してっから。」

「マ!?凄いなぁ、私もコッチで良い人見つかるかな。」

「お?コッチでスキピ作るかい?」

 興味津々な花音に美桜が食い付く。


「でも1人だけ人じゃない人が居たよね。」

「あ、それウチの彼氏。」

「・・・猫だったよ?」

「虎じゃい!」

「おじさんも居たよね。」

「・・・おじさん?」

「だれだ?」

「あの中でおじさんっぽいって言ったら・・・。」

「ホーキンさんか!?」

「ちょ!ホーキンさんおじさんじゃないし!まだ26だし!」

「「「「「「え!?」」」」」」

「・・・なんでみんなびっくりしてんのよ。」

 皆の反応に驚く麗奈。


「ごめん30くらいと思ってた。」

「ウチもそれくらいかなぁ~って・・・。」

「26かぁ・・・片足つっこんでんね。」

「つっこんで無ーい!まだわかーい!」

 お湯をバチャバチャと叩きながらもの言いを付ける麗奈。


「まぁまぁ、彼氏は大丈夫だよ、多分お母様がなにかしらしてくるから。」

「あーうちらもお茶会組んでもらったねー。」

「なつかしす、あそこでステルさんと会ったんだった。」

 大愛と青空は遠くを見つめながら呟く。


「それより魔法!魔法!」

「はいはい、まだ鑑定してないから属性分かんないよ?」

「属性あるの?」

「あるある、お風呂あがったら調べてもらおう。」

「・・・うぃよろしく。」

 皆は花音に魔法の説明や魔力操作、魔力循環を教えながら魔法談義に盛り上がった。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る