パパさん異世界いらっしゃい!
「でぇぇぇ!?」
「ヨリどうしたん?」
リビングで寛ぐ頼子はスマホを握りしめ叫ぶ。
「いま!いまから!いま!!!!」
「落ち着けヨリ、どうした。」
美桜は後ろからチョップしながら頼子に突っ込む。
「お父さんにバレた!」
「「「「「はぁぁ!?」」」」」
麗奈や青空達も驚く。
「どうしたのー?」
厨房に居た千春は顔をピョコっと出し問いかける。
「お父さんにバレた!」
「マ?」
「マッ!」
「で?」
「今コッチに向かってるって。」
「おー、修羅場かぁ?」
「チハル使い方間違ってると思うよそれ。」
「こまけぇこたぁいいのよ、アリン呼ぶ?」
「いやいやいや!ここでアリンさんいたらコロサレル!」
「大丈夫だよー、ヨリママも来るんでしょ?」
「勿論!」
騒ぎ立てる頼子と、他人事の様に見ているJK軍団。
「あーでもウチもヤバいって言ってたわ。」
「ミオの所?」
「うん、最近ウチの事話してたら考え事増えてるって言ってた。」
「ヤバいかもねー。」
「モリー、お母様に連絡お願い。」
「了解でっす!」
モリアンはそう言うと扉を開け走って行った。
「ラルカ、アリンさん呼んできて、多分まだ居るから。」
「了解しました!」
ラルカも扉を開けると一瞬で走っていく。
「チハルの侍女はみんな走ってんねぇ。」
「サフィーは走らないよ?」
「サフィーちゃんはまだ侍女扱いなの?」
「らしいよー。」
そう言う麗奈と千春はサフィーナを見る、サフィーナはクスッと笑みを浮かべる。
「千春!どうしたらいい!?」
「向かってるんだよね?待つしか無いねぇ、アイトネー。」
『は~い♪大丈夫よ~♪ウカちゃんから連絡あって話はしてるからって。』
「あ、宇迦之御魂様も関わってんのね。」
『えぇ、ヨリ達の両親で問題ある人間は居ないからこっちに永住しても良いわよ。』
「あ、チェック済なんだ。」
『そう言う訳じゃないけれど、ウカちゃんが事前に確認してるわ。』
「ふむふむ、だってさヨリ。」
「それとこれは別じゃいー!絶対怒られる!」
「怒られるような事したっけ?」
「・・・彼氏いるって言って無い。」
「あー・・・・・・どんまい。」
「ちーはーるー!」
コントの様なやり取りをしていると頼子のスマホが鳴る。
「げぇ!きたぁ!!!!」
『私が迎えに行くわね。』
「え?私が行った方が良くない?」
『ウカちゃんに頼まれてるから、大丈夫よ~♪』
アイトネは門の有る部屋に入り、智美と勇を迎えに行く。
「ヨリ、悩んでもしゃーないばい?」
「ビェリぃぃぃぃ。」
「わっちも姿変えとくばいね。」
子供の姿だったビェリーは蛇に戻る。
「子供の姿で良いじゃん。」
「子供の姿から蛇に変わるより最初から蛇の方が良いやろ?」
「あー、そうかも。」
『こっちよー♪』
アイトネの声が聞こえ、扉が開かれる、アイトネが現れ智美が入って来る、そしてキョロキョロと辺りを見回しながら勇が入って来る。
「こんばんは千春ちゃん、急にごめんなさいね。」
「こんばんわー、大丈夫ですよ、おじさんお久しぶりです!」
「あ、千春ちゃん、こんばんは・・・えぇぇ、マジか。」
勇は頼子を見ると、頭の上に白蛇、そして後ろには白銀の大きな狼ルプがお座りしている、その横にはチョコンと座るコンがいた、ロイロは人型で椅子に座りニコニコと楽しそうにしている。
「いらっしゃいませヨリのお父様で御座いますか?」
すっと前に出るサフィーナは微笑みながら声を掛ける。
「あ、はい、夜分遅く申し訳ない。」
「こちらへどうぞ。」
ソファーに促すサフィーナ、勇は素直にソファーに座る、対面には顔が引きつっている頼子が居る。
「頼子・・・本当に異世界なのか?」
「門見たでしょ?クローゼットから入って来たんでしょ?」
「あぁ・・・信じられん。」
頼子から目を外し、またキョロキョロと周りを見る勇。
「お茶をどうぞ。」
サフィーナはお茶を淹れ勇に渡す。
「ヨリママ説明は?」
「一通りしてるわ、ウカさんと一緒にね。」
千春が問いかけると智美は答えお茶を啜る、すると扉のノックが鳴りサリナが開ける。
「お待たせしたかしら?」
マルグリットは微笑みながら声を掛ける。
「今来た所、メグちゃんごめんなさい。」
「謝らないで頂戴、ヨリの事は王国の為でもあるのよ。」
「そう言ってもらえると有難いわ。」
「おい・・・。」
「挨拶が遅れました、私はマルグリット・アル・ジブラロールと申します。」
「ご丁寧に!おれ・・私は頼子の父で向井勇と申します!」
「イサム様で御座いますね、そんなに緊張なされずお座り下さいませ。」
勢いよく立ち上がり挨拶をする勇、マルグリットは優しく話す。
「この方はこの王国の王妃殿下よ。」
「え!?お前王妃様にちゃん付で呼んでたのか!?」
「お友達だもの。」
「トモミにはお世話になってますのよ?」
「そ、そうですか・・・。」
マルグリットはそう言うと頼子の横に座る。
「えっと・・・アイさんどんな感じなのかしら?」
『何も問題無いわよ、王国としては?』
「問題無いわ、エイダン・・・国王陛下と既に話は終わってますし。」
「え?もう?」
智美はマルグリットを見る。
「それはそうよ、ヨリがこの世界で嫁ぐのよ?イサム様が来る事は想定内、こちらの世界に移住しても問題が無いように準備もしているわ。」
「もしかして・・・他のメンバーも?」
「勿論、王国に住んでも良し、領地を預ける事も視野に入れているわ。」
「領地!?」
思わず声を上げる勇。
「領地なんてそう簡単に預けれないでしょう。」
「大丈夫よ、今王国預かりの領地が幾つかあるの。」
マルグリットはチラッと千春を見るとクスッと笑う。
「メグ様・・・それって千春の案件で空いちゃった領地ですか?」
「そうよ♪」
「「「ですよねぇ!」」」
思わず声を上げる頼子と美桜、麗奈、するとまた扉からノックが鳴る。
「失礼致します!」
アリンハンドと何故か後ろからエンハルトが入って来る。
「アリンさん!」
「こんばんはヨリさん、自己紹介しても?」
「は・・・はい。」
アリンハンドはピシッと背を伸ばし勇にお辞儀をする、そして自己紹介を始める。
「王宮魔導士師団長、アリンハンド・ローレルと申します。」
「うっ・・・向井勇です。」
何故か緊張した顔つきで答える勇。
「頼子、この人か?」
「うん、私の婚約者。」
「・・・真面目そうだな。」
「超真面目。」
「師団長って?」
「魔導士団の団長、一番偉い人だよ。」
「魔導士・・・魔法使いなのか?」
「そだよ、ちな私も使えるよ。」
「その・・・後ろの人は?」
ニコニコと後ろから見ているエンハルトを見ながら勇が問いかける。
「あ、この人は私の婚約者です。」
千春がニコッと微笑み勇に言う。
「ご挨拶が遅れました、エンハルト・アル・ジブラロールと申します。」
「え?」
勇はアル・ジブラロールと聞こえマルグリットを見る。
「私の息子ですわ。」
マルグリットも微笑みながら答え、エンハルトはお辞儀をする。
「さてと、何か聞きたい事ある?」
智美は勇の膝をポンと叩くと問いかける。
「・・・あるに決まってる、ありすぎて何から聞けば良いのか分からん。」
「そうよねぇ、私もそうだったわぁ、ね、メグちゃん。」
「そうね、でも馴染んだわよねぇ。」
「毎週来てるもの、慣れもするわ。」
「頼子、その頭の蛇が・・・土地神か?」
「わっちはビェリーだ、ヨリパパは毎日見とるばい。」
「姿隠して一緒に生活してるから、いつも家に居るんだよ?」
「らしいな・・・さっき聞いた、後ろの大きいのは。」
「ルプだ、千春と契約をしている、ヨロシクな勇。」
「僕も紹介してください!」
「このちっこいのはコンだ、宇迦之御魂様の御使いだ。」
「ちっこくないです!」
コンはそう言うと9尾の狐になりルプと同じサイズになる。
「お、お・・・よろしくお願いします。」
勇は驚きながら答える。
「お母様、こういう時はアレですよねぇ。」
「アレって?」
「コレです。」
千春はアイテムボックスを開くとお酒を次々と取り出す。
「ヨリパパ!野郎どもで飲んできてください!」
「へ?」
「ほら、お父さんが言ってました、酒の席じゃ他人でも友達になれるって、親睦会的なやつで飲んできてください。」
「ま、まぁそう言う事もあるが・・・良いのか?」
勇は智美を見る。
「構わないわよ、陛下はいらっしゃる?」
「そろそろ来るわよ。」
マルグリットは来るのが分かっていたのか扉を見るとノックが鳴る。
「お父様いらっしゃい!」
「お、おうチハル元気だな。」
「はい!えっと、こちらがこの国の王様です!」
両手をエイダンに向け紹介する千春。
「エイダン・アル・ジブラロールと申す、ヨリの父君で?」
「向井勇です。」
「はい!お父様このお酒持って皆で飲んできてください。」
「なんじゃ?良いのか?」
「はい、親睦会です。」
「ふむ、そうじゃな、色々話す事も有るじゃろう、アリンハンド、エンハルト、お前達も付き合うのじゃろ?」
「もちろんです。」
エンハルトはアリンハンドの肩を掴みながら答える。
「は、はい!お付き合いさせていただきます!」
「ビェリー、ルプ、コン、一緒に飲んできて良いよ。」
「おう、任せろ。」
「暴れたらわっちが止めるけん。」
「僕もでーす!」
ビェリーはお酒を影収納に入れる、それを見て驚く勇。
「これも魔法か。」
「そうよ、魔法の事はまた後でね、楽しんでらっしゃい。」
智美はそう言うと背中を押す。
「よし!イサム殿行きましょうぞ!」
「はい。」
エイダンはそう言うと皆を引き連れ部屋を出て行く。
「アリンさん大丈夫かなぁ。」
頼子は心配そうに後姿を見送る。
「大丈夫よ、あの人ああ見えて人に強く言えないから。」
「でも泣きそうじゃん?」
「・・・多分泣くわ。」
頼子と智美はそう言うとクスッと笑う。
「ヨリママも飲みます?」
「ん~メグちゃんが今飲めないしやめておくわ。」
「あら、気にしなくて良いわよ?」
「お母様にはコレー!」
千春はそう言うとノンアルコールを取り出す。
「はい!ノンアルコール日本酒!」
「え?日本酒?」
「はい、酒屋さんにノンアルコールを揃えてもらいました!」
ビールに酎ハイ、日本酒にワインとノンアルコールを並べる。
「チハル、これ全部お酒?」
「はい、こっちで言う酒精の無いお酒です、妊婦でも安心です、でも飲み過ぎるのは良くないかも?」
「ありがとうチハル、トモミそれじゃ行きましょう、アイさんもお付き合いして頂ける?」
『いいわよ~♪お酒久しぶりだわ♪』
「アイトネ、酔ってどっかの街消したりしないでよ?」
『大丈夫よ~♪多分♪ロイロも一緒に行きましょ♪』
「ちと付き合うかのう。」
「ロイロ程々にねー。」
面倒そうに言う割に笑みがこぼれているロイロへ注意する千春、そしてJK達は皆が部屋を出ると溜息を吐く。
「はぁ・・・寿命縮んだわ。」
「ヨリおつかれー。」
「よしこっちも乾杯しようぜ!」
「何の?」
「パパが異世界に来た乾杯。」
「なんじゃそりゃ。」
「ジュースだけどなー。」
「お酒あるよ?」
「不味いからいらん。」
「私コーラ!」
「私これー、新発売の濃厚グレープしゅわしゅわー!」
「あ!私それのピーチ!」
「ジンジャーにしよっと。」
「うちはエナジーなやつにしよ。」
「ダイア寝れなくなっても知らねーよ?」
キャッキャと騒ぐJK達、そして侍女達にも飲み物を渡す。
「それではー!パパさん異世界いらっしゃいのカンパーイ!」
「「「カンパーイ!!!!」」」
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