魔国にいくぞい!

「ラミちゃんうどん出来たよー。」

「・・・どうやって食べるの?これ。」

「はい、お母様、アルデアもどうぞ。」

「ありがとう、美味しそう。」

「へぇ、昨日食べてた物より麺が太そうね。」

「あれ?アルデア知ってるの?」

「見てたもの。」

 アルデアはそう言うとシャンデリアの上を指差す、よく見ると小さな蝙蝠が乗っていた。


「覗きだ。」

「失礼ね、一応護衛よ?」

「ありがとうごさいますー、イーナは?」

「ユラと部屋で遊んでるわね。」

 あらぬ方を見ながら笑みを浮かべる。


「イーナも食べるか聞いてみて。」

「・・・食べるって、ユラも来るわよ?」

「オッケー。」

 返事を聞き追加を作りに行く千春、ルプ達もテーブルに座り食べ始めていた。


「千春、初めて作ったんだよな?」

 ルプは狼男の姿で麺を啜る。


「そだよー、ヨリ達も初めてだよね?」

「うん、初めてだよーん。」

「コン、はいきつねうどんだよー。」

 ミオは甘く味付けしたおあげを乗せたうどんをコンの前に置く。


「ありがとうミオ!ミオ大好き!」

 満面の笑みで答えるコンは箸を持つと、いただきますと元気に言い麺を啜る。


「お母様どうですか?」

「ラーメンとは全く別物の料理ね、あっさりしててお腹が温まるわ。」

「消化も良いので食欲がない時オススメなんですよ。」

「これも作れる様にするの?」

「はい、ルノアーさん達に教えますから。」

「それは嬉しいわ。」

 マルグリットはうどんが気に入ったのか、ツルツルと麺を啜る。


「・・・食べ難いわ。」

 ラミは使い慣れていない箸と、上手く麺を吸う事が出来ず苦戦している。


「ラミにゃんコレ使ってみー?」

 麗奈が厨房からレンゲを持ってくる。


「スプーン?」

「レンゲだよ、えーっとコンこれ使ってみて。」

 麗奈はコンに渡すと、コンはレンゲに麺を乗せちゅるりと口に入れる。


「ああやって使うんだよ。」

「やってみるわ。」

 ラミはそう言うと、早速レンゲを使い食べ始める、そして美味しかったのか黙々とうどんを食べ始めた。


「寒い時はうどん美味しいよね。」

「日本はまだ暑いけどねぇ。」

「残暑きっついよねぇ。」

 まだ冷え込むジブラロールで皆は暖かいうどんを啜る。


「アルデア、魔国ってどんな所?」

「食事以外は人間の街と変わらないわよ、ただ種族間の争いは多いからどこかしら戦争してるわね。」

「おっかないな。」

「軍の者だけよ、一般市民は普通に生活してるわ。」

「お母様行った事あるんですよね?」

「えぇ、普通の街だったわよ。」

「遠いんですか?」

「馬車で行くならあっちこっちで乗り継ぐから2〜3大月掛かるわね。」

「うわぁ遠いなぁ。」

「アイさんに連れて行って貰えば?」

「アイトネかぁ。」

『呼んだ?』

「呼んでない。」

『あー!うどん食べてる!』

「食べる?」

『食べるわ♪』

 千春が聞くと即答し、侍女達が準備をする。


『で?何を話してたのかしら・・・あら魔国?』

「さらっと記憶読まないでくださーい。」

『行きたいの?』

「見てみたいなーくらいかな。」

『なーーーーーんにもないわよ?』

「何もない事は無いっしょ。』

 千春はそう言うとアルデアを見る。


「何も無いわよ?」

 そしてラミを見る。


「なーーーーーーーんにもないわよ。」

 うどんを食べ終わり満足そうに言うラミ。


「逆に見たくなるよね、千春。」

 頼子は面白そうにつぶやく。


「確かに、アイトネちょっと行ってみたい。」

『うどん食べてからで良い?』

「もちろん、急いでるわけじゃ無いもん、ゆっくり食べて。」

「何も無いって何?」

 美桜が考える。


「何も無いがあるんだよ。」

 麗奈はどこかで聞いた事を言う。


「魔国の王都って事だよね?」

「一応王都ね。」

「アルデア、特産品とか無いの?」

「そうねぇ、チーズは種類が多いわね。」

「そう言えばチーズは無駄に種類あるわ。」

 アルデアとラミは思い出し呟く。


「チーズって事は畜産かな。」

「チハル、チーズフォンデュしたい。」

「ウチもー。」

「チーズフォンデュやった事ないわ。」

「私も無いな。」

「チハルやったことある?」

「ないよー。」

「チーズなんて美味しい物じゃないでしょ。」

 ラミは嫌いなのか嫌そうに言う。


「ワインには合うわよ?」

「乳臭いし塩辛いし美味しくないわ。」

「塩辛い?」

「どんなチーズなんだろ。」

「色々有るって言ってたし塩辛いのもあるんだろうね。」

「ラミちゃんちょっとこれ食べてみて。」

 千春はそう言うとアイテムボックスからコンビニチーズケーキを取り出す。


「はい、めっちゃチーズなケーキだよ。」

「・・・えぇぇ。」

 嫌そうな顔をするラミ、しかし甘酸っぱい香りに負けフォークで一口分刺すと口に入れる。


「!?」

「どう?」

 コクコクと頷くラミ、思わず皆も笑みがこぼれる。


「色々あるならこれも作れそうかな?」

「作って!是非作って!チハル様!」

「お、食いついたねぇ、それじゃ準備して行こうかな。」

「チハルちょっと待って。」

 マルグリットは待ったを掛けるとエリーナから紙を受け取る。


「魔王に会うなら手紙を書いておくわね。」

 そう言うとサラサラと書いて行く。


「サフィー、何て書いてるか分かる?(ボソッ)」

「知らない方が良いですよ。(ボソっ)」

 心配そうに見つめる千春、勿論読めない。


「はい、これを渡しなさい、もし何か理不尽な事を言うなら・・・サフィーナ容赦しなくて良いわ。」

「はい、了解しました。」

「え?サフィーでどうにかなる物なの?」

「サフィーナが容赦しないなら身動き出来ないくらいには出来るでしょ?」

「魔王ですよ?」

「えぇ、私が戦った時よりも強くなってなければサフィーナでも対応出来るわよ。」

「・・・魔王に容赦なしですか?不敬になりません?」

「大丈夫、あいつ死なないから。」

「へ?」

「あの魔王不死身なのよ、殺しても死なないから容赦しなくてい良いわよ。」

「ラミちゃん知ってた?」

「はい、あの人死なないんです。」

「アイトネ!どういう事?アンデッドとか!?」

『不死では無いわよ、限りなく死なないだけ。』

「詳しく!」

『人のスキルを言うのはルール違反なのよ?』

「はい、チーズケーキあげる。」

『自己蘇生と高速回復スキルがついてるのよー♪』

 アイトネはそう言うとチーズケーキを受け取りパクパク食べだす。


『チハルでも初見殺しなスキルあるでしょ~♪』

「え?何?」

『アイテムボックスに入れちゃったら何もできないわ~♪』

「・・・チートだなぁ、あははは。」

 そしてアイトネがのんびりケーキをお代わりするまで、千春達はお出かけの準備をする事にした。



-------------



「サフィーちゃん、手紙何て書いてあった?」

「・・・『チハルに手を出したら〇す』です。」

 頼子にこっそり聞かれサフィーナは苦笑いで教えた。






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