浴衣買いに行くよ!
(最近ここらで沢山の妖気を感じるにゃ、霊気や神気まで漂ってるにゃ、吾輩は捜査するべきにゃ!)
とある住宅街をてくてくと歩く三毛猫はキョロキョロと辺りを窺いながら道路を歩く、そしてとある神社が見えた。
(確かココは土地神が変わったにゃ、前の恐ろしい狼がカラスににゃって安心したにゃぁ。)
神社を通り過ぎ、三毛猫は一軒家を見つめる。
(何にゃ?この家妖気が全くないにゃ?神社くらい神気が見えるにゃ?!)
家の周りをみて回るが、家の周りには何も無い。
(おかしいにゃ、結界が張ってあるにゃに痕跡が無いにゃ、怪しいにゃ!)
三毛猫は一番怪しいのが自身の事というのは空の彼方へ投げ飛ばし、玄関前に移動する。
(ココだにゃ、幾つも術が掛かってるにゃ・・・かの陰陽師でもこんな術は無理にゃ・・・何者にゃ?)
玄関前にちょこんと座り、扉を見上げる三毛猫、すると異変を感じる。
(何にゃ!?神気に霊気!これは妖気じゃ無いにゃ!大きな力が現れたにゃ!)
三毛猫は急いで木の裏に逃げる、すると扉が開く。
「やっぱIONしゃない?」
「ファッションセンターしきむらで今セールやってんよ?」
「儂は幻術で良いじゃろぉ。」
「ロイロも着なよ、絶対可愛いって。」
「わっちも着るんかー?」
「蛇のまんまじゃ屋台で食べ歩き出来ないよ?ビェリー。」
「それは困ります!僕も食べ歩きしたいです!」
「コンも甚平さん着ようねー。」
「俺は身長測るだけで良いだろ。」
「ルプの完全人化の訓練だよ、初めてなんでしょ?」
玄関からゾロゾロと出て来る千春達、それを隠れて見つめる三毛猫は毛を逆立て目を見開き呟く。
(うっそぉーにゃぁぁ。)
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「よし、測り終わった?」
「こっちオッケー!」
「ステルさんもおっけ!」
「ほーい、ありがとうございますトラディさん。」
「やっぱエーデルさん大きいなぁ。」
「ルプも幻術掛けてもらって花火見に行く?」
「俺は幻術掛けなくても行けるぞ?」
ルプはそう言うと顔まで人に変化する。
「は?出来たの?」
「酒を呑みやすく変化していただけだからな、完全に人化するより楽なんだよ。」
「ふぅ~ん、まぁいいや、それじゃルプも付いて来てよ。」
「千春それじゃ出かける?」
「うん、ユラ達は?」
千春が言うと、ユラ、イーレン、シャテル、ハチェットと一緒に来たルペタ、そしてなぜかイーナも着替えて来る。
「おぉー幼女いっぱい。」
「可愛いね。」
「なにこのカチューシャ。」
千春はイーレンやシャテル、ルペタとイーナに耳付きカチューシャを付ける。
「ほら、ユラにカチューシャ付けたら耳付きカチューシャに見えるじゃん。」
「ほんとだ。」
「そんで、みんなに装着すると!」
幼女軍団は皆耳付きのカチューシャを付けお揃いだと喜ぶ。
「おぉー違和感ないね。」
「でっしょ~、暑いからフードとか無理じゃん。」
ピースしながら千春は言う。
「ビェリー、コンも人化して着替えてね。」
「わっちも?」
「僕もです?」
千春に言われ、頼子と美桜が取り出し直ぐに着替えさせる。
「んじゃ行こうか。」
「おっけー。」
皆を連れ、門を通り玄関を出る。
「やっぱIONじゃない?」
「ファッションセンターしきむらで今セールやってんよ?」
「儂は幻術で良いじゃろぉ。」
「ロイロも着なよ、絶対可愛いって。」
「わっちも着るんかー?」
「蛇のまんまじゃ屋台で食べ歩き出来ないよ?ビェリー。」
「それは困ります!僕も食べ歩きしたいです!」
「コンも甚平さん着ようねー。」
「俺は身長測るだけで良いだろ。」
「ルプの完全人化の訓練だよ、初めてなんでしょ?」
「まぁ問題無いだろ・・・。」
ルプはチラリと庭に目をやる。
「どうしたの?」
「いや、問題無い、行くか。」
千春に聞かれるが、ルプはフッと笑みを浮かべ歩き出す。
「うわぁすごい!」
「あぶないから手つなご!」
「ユラさまあぶないのですか?」
「だいじょうぶだよルペタちゃん、この線からあっちにいくと『くるま』っていうのがとおるから、こっちだよ!」
「うん!わかった!」
幼女達は仲良く手を繋ぎ千春達の間に入り付いて行く、そして近所のファッションセンターに到着すると、ワイワイと試着し、それぞれ浴衣を選ぶ。
「やっべぇ、ユラちゃん達可愛いんだが。」
「同意、マジで可愛い。」
初めての浴衣を着たユラ達はくるくる回りポーズを決めたりとはしゃいでいた。
「おこちゃま甚平も可愛いな。」
「ヨリこれでいいっちゃ。」
「いや、こっちも着てみて。」
「えぇ~。」
「コン、次コレね。」
「・・・はい。」
着せ替え人形になるビェリー、コンは既に諦め言い成りだ。
「ルプちょうどいいね。」
「この背中の絵はどうなんだ?」
「良いじゃん狼の絵、似合ってるよ。」
「ふ~ん。」
鏡に背を向けルプも悪くないかと微笑む。
「みんな背が高いし甚平は大き目サイズ選んだ方がいいんだって。」
「えぇ、エーデルさんのサイズないよぉ。」
「一番大きいのは3Lだね。」
「うーん、一応買って行くかぁ。」
美桜は甚平を手に取りカゴに入れる。
「よーし、それじゃお会計済ませて男連中に着せてみよう!」
「おー!」
千春達は早速自分達の浴衣と甚平を買うと店を出る。
「たのしみー!」
「ねー!」
「おみせすごかった!おようふくいっぱいだった!」
「すごかったです!イーナもびっくりなのです!」
「凄いです、ニホン凄いです!」
「ほら、ユラみんな手繋いでね。」
「「「「「はーい!」」」」」
幼女達は手を繋ぎニッコニコで歩き出す、千春達はそれを眺めながらノンビリと家に帰る。
「ルプ、気付いておるか?」
「あぁ日本に戻って来た時に玄関前で隠れていたヤツだろ。」
「ずっと付いてきとーね。」
「敵意は無いみたいですよ?」
コソコソと話すロイロ達は、家に辿り着くと行動を起こす。
「はーいただいまーっと。」
「おっつ~、楽しみだねぇ・・・あれ?ビェリー?」
「おりょ?コンも居ない。」
後ろから付いて来ていたビェリーとコンが姿を消していた、そして千春達の前に三毛猫が飛び出してくる。
「うにゃぁぁぁぁ!!!」
「よっと。」
ルプは首元を鷲掴みすると、ヒョイっと持ち上げる。
「猫!」
「三毛猫だ、可愛いね。」
「ルプさん上手くいきました?」
「おう、ばっちり捕まえたぞ。」
「ルプー可哀そうじゃん、逃がしてあげたら?」
「ねこちゃーん何してたのー?」
美桜が捕まってブラブラしている所へ覗き込み声をかける。
「うにゃぁ。」
「かわいいな・・・あれ?この子オスだ。」
「え?!三毛猫のオスって居ないんじゃないの?」
「数万分の1の確率で生まれるって見たよ、一匹数百万円で売れるってテレビで言ってた。」
「マジか!ほんとだ!タマタマある!」
「おーオスだ、すげー。」
千春達はマジマジと三毛猫のタマタマを見ながら言う。
「セクハラだにゃー!見るなニャー!!!」
「お?喋ったよコイツ。」
「おー、喋れるオスの三毛猫か、高く売れそうだね。」
「オークションか?」
「みんなで山分けするか。」
「・・・ちょい、変化してる狼の兄さんにゃー、なんでこの子達驚かないにゃ?」
「まぁ今更猫が喋った所で驚くメンツじゃねえぞ、猫又。」
「僕も狐ですし!」
「わっちは蛇やしね。」
ビェリーとコンは変化を解き姿を戻す。
「・・・神気と妖気の正体にゃあんたらだったにゃー?」
「俺は狼ってバレてんだな。」
「神社に居た狼だにゃー?」
「おう、知ってたか。」
「あの姉さんにゃ何者にゃ?」
目をロイロに向けて言うとロイロはニヤリと笑う。
「アレはこっちで言う龍神だ、喧嘩売るなよ?」
「売らないにゃ!取り敢えず手を放すにゃ!」
「逃げるだろ。」
「・・・逃げないにゃ。」
「ルプ、猫貸して。」
「千春噛まれない?」
「分かんないけど喋れるから大丈夫じゃん?ねぇ猫ちゃん。」
「・・・噛んだら殺されるにゃぁ・・・。」
軽く殺気を帯びたロイロ達に見られ、逃亡も諦めた三毛猫は暫く千春達にもみくちゃにされることとなった。
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