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「あれ?」


 電車の中、音飛びするイヤホン。ジャックを抜き差ししたが、元に戻らない。どうやら断線してしまったようだ。バンド練習の帰り、音を確認したかったのに。


「聴く? 練習音源でしょ?」


 隣に座るリコが、イヤホンの片方を差し出した。受け取って耳に差し込むと、肩が触れあう。自分の心臓のリズムが速くなり、音源が全然耳に入らなかった。

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