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 引越し業者が去り、とりあえず私は自転車で新居の近くを走ることにした。小さなスーパー、薬局兼文房具屋、郵便局。建物が消え街路樹を過ぎると、そこには大きな湖が顔を覗かせた。風でゆらめく湖面がキラキラと宝石の粒を散りばめたように輝く。今日からこの街の片隅で、私は泥臭く生きていくのか。涙を拭い、また自転車を漕ぎ出した。

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