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 物音で私は目を覚ました。熱にうかされながら暗い天井をぼんやりと見つめていると、扉が静かに開く。「大丈夫?」と彼が顔を出した。

 彼が持ってきたお椀から、優しい甘い香りが漂ってくる。缶詰の桃だった。私の母も、風邪のときは桃だった。意外な共通点で、なんだかホッとする。

 ありがとう、と言って食べた桃は、乾いた喉をそっと潤してくれた。

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