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 鼻の奥が痛くなるほど、寒さが深まってきた。帰港が遅れたらしい船を待ち続けて二時間が経つ。夜の海に目をこらすと、白い大きな影が現れる。


「船だ」


 ゆっくりと港に入ってくる、私の愛しい人を乗せた船。


「遅いよ、バカ」


 半年会えなかったことに比べたら、何てことない。そう自分を慰めながら、私は彼が降りてくるのを今か今かと待っていた。

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