俺ケツ!!異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われている!!!!!第2章完結!

お花畑ラブ子

1人の魔法少女にケツを狙われている

第1話 きらめく星の元、ケツ輝きたりて


 星よ 煌めく星たちよ

 異なる世界を結ぶ

 か弱き線よ

 見守る時は過ぎ去りて

 導く時がいざ来たれり


 俺はどこにでもいる高校男子。日々バカ話に明け暮れ、クラスのカースト上位の女子に声をかけられるものなら、ビビり散らかす程度には普通の高校生だ。普通を愛し、目立つことを恐れ、貧乏とは行かないまでも、まぁ、節約は美徳だよなと思われる程度の生活水準だ。家族構成は父、母、妹。仲はまぁまぁ。喧嘩はするし、文句も垂れるが、家庭崩壊はしていない。鏡を見て映る姿はまぁ、普通か?身長はそこそこあるが、運動神経は並。髪は染めておらず、整髪剤使う程度か。

 まぁ、これからはじまる俺の話なんてのも、よくある異世界転生。あるいは異世界転移の話だと思ってくれたらいい。

 ありがちな展開ではあるが、可愛らしい金髪の色白美少女にバイクが突っ込んで来たので、彼女を突き飛ばした訳だが、まぁ、上手くいかなかったらしい。神様と話をして、気づいたら異世界の森の中だったって訳だ。


 君たちは異世界に行けばどうにかなるって、思っていないかい?どんな力を想像するかい?

 あらゆる敵を薙ぎ払う超パワー!

 1度は唱えたい大魔術を乱発できる超魔力!

 何故か俺だけ特別扱い?異種間の超友情!

 ハーレム!ハーレム!!ハーレムの超モテモテ!

 神は俺を愛している、超ラッキー!

 俺は思っていた。正直に言おう!

 かっこよく戦い、複数の美少女から好意をよせられ、モテモテになる。

 だが、残念。運命の女神は残酷で、おれは異世界転生した奴らよりも確実に「ケツ」と言う単語を言うことになる。


 俺が異世界アナホリーダに来て数ヶ月たった。空腹で死にそうになったところ、親切な村娘の姉妹に助けられた。美人で色々大きなお姉ちゃんと可愛らしくて色々ちいさな妹ちゃんによって、会話やお金の計算など日常生活はある程度できるようになった。だが、3ヶ月後、とんだハプニングで俺はどこぞの森に村娘の妹とともに転送されてしまった。




「師匠(せんせい)。大人しく帰ってもらえないっすかね」


 大きな橋に二人の魔道士が向かい合っている。石造りの広い橋は城壁から4本東西南北に伸びる。そのうち三つはすでに橋を引き上げられ固く閉ざされている。物理的にも魔法的にも侵入することは不可能に近い。橋の下は急流が音を立てている。城壁は何年もかけてかけられた防御魔法に加え、今日この日のために新たに魔法がかけられている。指一つでも触れればたちまち消し炭になってしまう。唯一、来賓を迎え入れるために開けられたのは南門のみ。


 その守りを任されているこの町一の魔道士であり衛兵長の女の額には、冷や汗が流れた。彼女の後ろでは衛兵たちが固唾を飲んで見守っている。


 若く才能溢れるこの衛兵長は世界でも屈指の魔道士である「魔法少女」の名を王都から賜っていた。いくつもの危機から町や国を守り、それなりに自信が出てきた。今回の任務でも、これだけ守りを固めた町を襲うような馬鹿なやつはいない。はずだった。


「なんで、今日っすかね〜」

「ガッハッハッ!!前に教えたろ?万全を持ってして、警戒を怠るな!焼肉バイキングの終盤の遅れてきた注文ってやつだぜ」

「師匠の言うことは良くわからないっす」


 衛兵長は「魔法少女」と呼ばれるように若い女の魔道士だった。短髪の髪は青く、ファッションなのか所々赤く染め、マントの下には国から支給されている軽装甲冑を着込んでいた。頭をポリポリとかきながらやれやれと嘆息した。


「がっはっはっは!!ば〜か!こういうのはな!困難な時ほど燃えるじゃねぇか」


 相対する魔道士も髪は赤かったが、こちらのほうが髪は長く深い赤色をしていた。らんらんと獲物を狙うような黄色く透き通ったするどい瞳は、弟子を見据えていた。かなりぶかぶかな山高帽子の上にごついゴーグルを乗せていた。旅の途中なのか大きな皮袋を肩に引っ掛けていた。マントは深緑色で背後にある森と合わさって見えにくくなっている。彼女は皮袋をどすんとその場に置き、肩を鳴らす。


「…またまた〜。そうやって、トラブルメイカー気取ってるんすか?今日はご覧の通り堅固な守りに小物どもの余計な横槍が入りにくい。つまり不確定要素が少ない。町の中には来賓がたくさん来ていて、いざという時には、人質にできる。今日の警護責任者は手の内の知った超絶美少女のかわいい弟子。襲撃するにはうってつけの日っつうわけっすよね」


 ヘラヘラと笑いながらも守り手の魔道士は杖を取り出す。蒼く氷のように透き通った綺麗な杖。相対する魔道士の方もニヤリとして杖を胸元から取り出して話しかける。ああ杖になりたい。彼女の杖は赤色の燃えるような杖。互いを見据えながら間合いを詰めていく。


「…はっ!超絶美少女って自分でいうか普通。一丁前にあたしの心理を読もうってのは、10年はえぇよ」


「10年って随分しおらしい見積もりっすね。あながち間違ってないっすよね?・・・師匠(せんせい)?」


「ああ!大正解だぜ、天下の大魔法少女のあたしは教え子も超素晴らしい。これでも、お前のことは弟子たちの中でも買ってんだぜ?最近なんって呼ばれているんだっけ?」


「にっしっしっし!『赤の継承者』っすよ」

 得意げにドヤ顔をかましてる。


「お前は弟子だが、継承してやるつもりなんかねぇよ。あたしの技術を盗んでおいて、一国のお抱え魔道士やって贅沢三昧してるんだからなぁ」


 笑い顔が消えた。その事は秘密であったはずなのに、どうしてこの女は知っている。


「ちょっとよしてくださいよ。私の部下も見てるんすから。師匠のほうこそ、あんまりいい噂を聞かないっすよ!各地を回って何を企んでいるんすか!「氷斧(ブルーベア)」!!」

 杖が持ち手の氷の斧を作り出す。冷気が溢れ、石畳の隙間から生える足元の草花は一瞬で氷漬けになった。


「おおぉ、怖。「赫(ダブル)・赤蛇(レッドウィップ)」」

 長髪のほうも、小さな瓶を取り出し中の魔炎を杖を使って、引きずり出す。まるで大蛇のような炎のムチが完成する。

「昔みたいに泣いて謝っても、止めないぜ」

「よして下さいっす!昔だって止まってくれたことないくせに」

 一瞬の沈黙の後、魔法と魔法が激しくぶつかり合う。まずは、守手の魔法少女は氷の斧を振り上げつつも、足元から氷の棘を生やし、相手の動きに制限をかける。だが、赤髪は、お構い無しに突っ込んでいき、炎の鞭で棘を薙ぎ払う。




 そんな様子を物陰から見ている影が2つ。町へ入る街道が通る森の中で、魔法の余波を肌でビリビリと感じていた。


「いやいやいやいや!無理無理無理!!」


「なななな、泣き言言うなっての!!おおおおれはこここ怖くねぇぞ」


 この世界では見慣れない学ラン姿の少年と、大っきな杖を持つ村娘が肩を抱き合って震えていた。


「わたし、しがない村のまじない師なんだからねっ!勘違いしないでよねっ!」


「テンプレのツンデレ娘ご馳走様でした!カリンマジ頼む!いや、ちょっと、ちょっと、先っぽだけでいいから」


「うわあああん。先っぽって何よ!絶対それ全部入れられるやつ~~~!!何がとは言わないけど!!!ナニなんだけどぉ!!!」


 ばんばんと、地面をたたく。あんなハイレベルな戦いヤバいって。拠点としていた村から転送され、元いた村へ帰るため、村から村へと旅していた自分たちは完全な場違いであった。ようやく、大きな町についたってのにバトルしないでくださる?こちとら、しばらく水浴びも十分出来てないってのに。


「おまっ、恥じらいを持てよ!恥じらいを!」

「お、女の子は、12を超えたら、女豹なんですぅ!女子を変な妄想で神格視するなんて、このくそ童貞が!女にゃリスクがあるんだよ!知識ないと、自分を守れねぇんだよ!舐めんな!このド変態!ドスケベ!」


「おま!いっちゃならんことを!!このまな板!!天保山!!ぺったんこ!!」


「あ?…消し炭にするぞ。」


「すみませんでした!!のわっ!!」


 彼らの足元が爆ぜる。戦いが激しくなるにつれて魔法が強くなり、流れ弾も無視できないレベルになってきた。燃え上がり凍らされ、森の様子が様変わりしていく。

「みぎゃあああ冷たい冷たい冷たい!!」

「ぎゃあああ!熱い熱い熱い!!」


「なんか防御魔法ないのか」

 頭を抱えながらカリンに叫ぶ。こいつは村で評判の呪い師の姉妹の妹。期待せずにはいられないっ。


「仕方ないわね!!」

 彼女は腕まくりをして立ち上がる。 おお!頼もしい!


「見せてあげるわ!村に現れたイノシシを追い払った鉄壁の魔法!!しーるど!」


 ちゅん!


 一瞬で蒸発した。


「どこが鉄壁なんだよ!!」

「うっさいわ!!国家クラスの魔法少女の戦いに村の呪い師の私ごときが叶うはずないじゃない!!どうよ!!私!!!弱いわ!!!」

 無い胸を張り、ドヤ顔かましながら吠えた。


「いばんな!!このままじゃ2人とも死ぬんだぞ!!」


「じゃあ!ケツをだしなさいよ!!」


 淑女(レディ)にあるまじき発言だ。なんで、おれが同い年くらいの女の子におしりをださないといけないんだ。


「は?おま!何を言って!!」


「わたし、知ってるんだからね!!あんたがおしりから魔法の杖だしてるの!!!」


(  人  ) ゜д゜)ふぁ?!!!

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