第1章70 確1
方針が定まり、俺たちは移動を開始する。しばらくダッシュを続け、ゴクウのODが再度溜まったところですぐに飛んだ。
眼下に3部隊ほど見えたけど全て無視。とにかく安地の西側で少しでもいい場所を確保できるようにひたすら急いだ。
「H4Y4T0! 救援物資落ちてくるぞ!」
見れば、上空から漆黒の立方体が俺たちの進路から50mほど離れた位置に落下していた。
救援物資は毎試合ランダムな地点に落ちることのあるボックスで、中には通常のマップでは出現率の低い強めの物資が入っている。
特に武器は強力で、救援物資からしか拾えない銃は通常のそれとは一線を画す性能を持っていた。
さすがにこれは逃せない。救援物資は遠目からも落ちるのが分かるから同じボックスを狙って接敵するリスクはあるけど、そのリスクに見合うだけのリターンがある。
セイメイもいるし、ここで見逃す手はない。
俺たちは固まって救援物資に近づき中を確認する。頼む、入っててくれ。
「ホワイトデスあった!」
「クリップ製造スナきたぁ!」
”ホワイトデス”。寓話をモチーフにしているこのゲームで唯一史実を元にした名前が付けられた最強の
雪原で死体の山を気づき上げた伝説のスナイパーの二つ名を冠されたこのSRは、胴体ならどこに当たろうと最終進化状態の赤バリアすら一発で剥がし、ヘッドショットなら紫未満のヘルメットまで確定1発でノックが取れる。
リロードが長いしスコープ倍率が高いから狙う難易度は高いけど、文字通り1発で戦局を変えられるほどの強武器だ。
救援物資には他にも紫バリアやヘルメット、バリアと体力を全回復するエリクサーが入っていた。素早く分配してダッシュを再開。
第2収縮が終わり、走りながら次の円を確認する。
「やっぱな」
「予言的中ぅ」
「ほんとゴミ安地だ」
予想通り、次の収縮で完全に東西が崖で分かたれる。面積としては東側が4割で西側が6割ってところだ。
残る部隊は10。俺らの選択が吉と出るか凶と出るか。
次の安地表示から30秒ほどで俺たちは東側に到着。すぐに”霊鳥の目”で確認するけど、こっちを選択したのは俺らの他にはまだ1部隊しかいなかった。
残りは全部西側の崖に集中してる。
「ドッカンバトルが始まるぞぉ」
「どこもリスク犯してキル拾いに行ったな」
「これあたしたちチャンスだよね?」
「うん、向こうで勝手につぶし合うから順位は良さそうだね。その前に、あっちをどかそう」
俺たちのほかに東側に陣取ったチーム。スキンからゼウスさんや佐々木さんのいる”騒げアリーナ”か。
あそこも3位だからキルポよりも安全を重視してきたんだな。
向こうも俺たちの存在には気づいただろう。ただ、まだ仕掛けてくる様子はない。ここはお互いやり過ごして上の潰し合いを待ちたいんだろう。
けど、こっちがそれに付き合う義理はない。
「抜いたら詰める。準備して」
俺はホワイトデスを構えスコープを覗き込む。あっちは俺がホワイトデスを持っていることをまだ知らない。
銃声で何を持ってるかはバレる。だから、1発目で1人もらうぞ。
狙うのは防御の要のセイメイ。距離による偏差を考慮し、動きが止まったほんの一瞬。
ズガアァンッ!
あぁ、撃った瞬間確信した。完璧だ。放たれた音速を遥かに超えた弾丸は、糸を引くようにセイメイのこめかみをぶち抜いた。
「流石ぁ」
「ナイス!」
「突っ込めぇ!」
セイメイのノックダウンを取り、Setoとひよりが弾かれるように飛び出した。
向こうはこっちがいきなり仕掛けてくる、かつノックダウンを取られるのは想定外だったようで狼狽えてる。
Setoがキャラコン全開のインファイトで残り2人も刈り取った。
「あぁ~やっぱこいつだわ。威力下がっていいから通常武器になってくれないかな」
「お前ほんとそれ好きだよなぁ」
「頭の中でイケない物質が出てるのが分かる」
「中毒じゃん」
この快感があるからSRは辞められないんだよなぁ。
さておき東側は支配した。あとは上の戦闘に茶々を入れつつ順位上げだ。
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