第1章66 思惑の衝突
場所を明け渡した2人も倒して残りは6部隊。
移動と戦闘で削られたバリアと体力を回復させ、フルヘルスに戻った俺たちは大岩の1段目にしゃがみ込んで射線を切った。
例のごとく俺が上空から戦場を俯瞰する。
安地の円を時計で表現するなら10時の位置に俺たちがいて、左側に4チーム、右側に2チームって感じか。
ゴクウのODは使ったから次の収縮には間に合わない。徒歩での移動ってことになると…左が邪魔だな。
構成とかスキンを見る限りG1Nさんのとこか。俺らが近づけば全力で弾こうとするだろう。
だったらエリアは明け渡して逆方向を押した方がいいかもしれない。
どっちだ。迫られる2択。数秒の思考ののち、俺は決断を下した。
「左のエリアは渡す。俺らは右を詰めよう」
「「了解」」
「説明しとく。G1Nさんたちはエリアを確保できれば最終盤で有利になる。俺らが詰めてこないなら無理にしかけないと思う。来られる方が嫌だから。どのみち俺らと右のチームは挟まれてるし、ならこっちから右に仕掛けて挟んで潰すよ」
「おう」
「うん」
間もなく安地が狭まり始める。仕掛けられてからじゃ遅い。俺はシルフィを右隣の部隊が隠れる大岩の上に配置して準備を整えた。
多分連戦になるからODの切り時が命だ。
「仕掛ける! ODはコールするから。グレからで」
「はい!」
俺たちの襲撃に気づいた相手が応戦してくる。グレを使い切る勢いで投げまくり、無理やり相手を隠れる大岩から引き離した。これで更に奥側にいる部隊からの射線が通るはずだ。
敵チームのセイメイが足止めのためにODを発動する。自分たちが被弾しないように俺たちの足元を指定したみたいで救われた。
ならもっと突っ込んでインファイトを仕掛ければ被弾は減る。
「ガンガン詰めろぉ!」
「しゃあぁあ!」
2つの射線に挟まれたチームはたまらず結界も起動。ここは時間を与えちゃだめだ。俺は即座にODを発動して結界を吹き飛ばした。
回復の時間を与えず反対側の部隊と協力して磨り潰す。ただ、これで終わるはずがない。
敵の敵は味方だったけど、共通の敵がいなくなればただの敵に戻るわけで。
俺たちと反対側にいたチームが続けざまに仕掛けてきた。こっちは強引に仕掛けたからバリアが削られてる。
「ひより、けっ…」
俺が言い終わる前に俺たちを守るようにセイメイの結界が張られる。俺がコールするって言ったのはODだけ。
カスタム中からスキルに関してはひよりの判断に任せるようになっていた。
もちろん俺が指示することもあるけど、俺が任せてもいいと思えるくらい、ひよりのセイメイ使いとしての力量は上がっていたんだ。
「ナイスひよ…くっそ」
一旦回復しようとしたところで歯噛みする。
せっかくひよりが張ってくれた結界が吹き飛ばされた。衝撃波で俺たちに残されていたバリアが全員完全に剝がされる。
分かってはいた。今交戦する部隊にもロビンフッドがいることは。俺たちが狙ったことを、相手もまた狙っていたってわけだ。
「ひより撃て!」
「はい!」
「Seto!」
「任せろぉ!」
セイメイのODと同時にゴクウの”芭蕉扇”も発動。爆撃と暴風の壁で無理やり足を止めさせた。とにかく、少しでも立て直す時間を稼がないと。一旦岩に身を潜めて回復を試みる。
だけど、ここで更に状況は悪い方へと傾く。突然体が後方へと引きずり込まれた。
俺たちの背後、つまりG1Nさんのチームが詰めてきていた。甘かったか…。
マーリンのOD、”地縛の魔鎖”。トーテムから伸びる鎖が俺たちの体に巻き付いて中心へと引きずりこもうとする。
すぐさま気づいてトーテムを破壊しにかかるけど、時すでに遅し。
バリアの剥がれた俺たちではさすがに2部隊を相手にすることはできなかった。
”Game Over”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます