魔法のパンツを穿いた幼馴染は、好きな姿に変われる

あかせ

魔法のパンツ

 俺の人生は、個人的だが良いと思っている。ラブコメの定番である『隣の家が幼馴染』という条件をクリアしているからだ。


親ぐるみの付き合いもあり、高2になった今も同じ学校に通うだけでなく、付き合っている。俺から交際を申し込んだんだが、死ぬほど恥ずかしかったぞ…。


幼馴染の名は、八城梓やしろあずさという。


梓とは、中2の時に初体験を済ませた。もちろん事故ではなく、互いの了承を得ている。それをきっかけに付き合う事にしたから、付き合ってほぼ3年になるか。


以降も体を重ねることが多いが、Hのパターンがマンネリしつつある…。

どうやら、梓も同じことを考えたようで…。



 ある日。梓と一緒に登校している時に、彼女が突然告白してきた。


「海斗。この間ね、ネットで『魔法のパンツ』っていうのを買ったの」


海斗というのは、俺、小野寺海斗おのでらかいとのことだ。


「魔法のパンツ? なんだそりゃ?」

穿くと魔法が使えるとか? まるでファンタジーだ。


「私にもわかんない。見た目は普通のパンツだよ。まだ穿いた事ないけど…」


「ないのかよ!?」

制服を着ている梓のスカートを凝視して損した…。


「海斗、今穿いてるって思った?」

ニヤニヤする梓。


「話の流れ的に、穿いてるって思うだろ!」


「どうしても気になるなら、放課後私の部屋に来てよ」


「絶対行く! んで、梓にそのパンツを穿いてもらう」


「もう…。しょうがないなぁ…」


そう言いつつ、嫌がっているようには見えない梓。

早く放課後になってほしいぜ。



 放課後。梓の部屋に直行する俺。


「梓。魔法のパンツはどれだ?」


「海斗、がっつきすぎ。…これだよ」


梓はタンスからパンツを取り出す。

…普通のパンツにしか見えない。


「お前の言う通り、普通のパンツにしか見えん」


「でしょ? 何が魔法なんだろうね?」


「とりあえず、穿いてみろよ。履き心地が魔法みたいなんだろ」

我ながら意味不明だが、穿いてほしいから適当に言ってみる。


「…わかったから、あっち向いて」

窓の外を指差す梓。


「俺達、何回もHしてるじゃん。今更じゃね?」

何度も全裸を見た・見られたことがある俺達だ。気にしなくても良いのに…。


「海斗。デリカシーなさすぎ。私だから許されることだよ、それ。」


「そんなのわかってる。梓の前でしか言わないよ、絶対な」


「…はいはい。じゃあ、着替えるからね」


諦めた? 梓は、俺が見ている状況でパンツを下ろす。

その後、魔法のパンツを穿いた。


スカートを穿いてる状態で、パンツを脱ぎ着しても恥ずかしくないだろ…。


「……どうだ? 魔法を感じるか?」

そばで見ている俺にはサッパリだが、梓にはわかるかも?


「…全然。このパンツ、商品名変えないとダメだよ」

不満を漏らす梓。


本当に普通のパンツみたいだ。残念だな…。



 「梓。魔法っぽいのをイメージしてみろよ。火の玉とか、変身した姿とさ」

履き心地が魔法じゃないなら、穿いた状態で魔法について考えてもらおう。


これでダメなら諦めるか…。


「無駄だと思うけど、良いよ…」

そう言った後、考え込む梓。


…梓が考え込んで間もなく、彼女のスカートが光る。

これはもしや、魔法のパンツが光っているのか?


「梓! スカートが光ってるぞ!」


「知ってる! 何これ? どういう事?」

突然の出来事に、混乱しているな…。


「お前、何を考えた?」


「それは…」

梓が言いかけた時、目を開けられないほどの光が俺を襲う。


すぐ目を閉じる俺。……光を感じないから、収まったか?


さっきの光は、目を閉じてもその隙間から入り込むぐらい強かったから、収まったことは即わかる。


…ゆっくり目を開けると、俺の前に制服を着たナイスバディのお姉さんがいた…。

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