赤の瞳と金の瞳
第69話 赤の瞳と金の瞳(ミリア視点)
翼をはやした男が暗い空からゆっくりと降りてくる。彼はいつも無表情だ。だから、はやく結果を知りたいわたくしは表情を読めない男にはやくここにくるようにと手招きする。
「おかえりなさい。クロウ」
男はわたくしの可愛い弟だ。瞳の色は違うけれどわたくし達は同時に生まれた。双子。
生まれる前、金色の瞳の
女であれば同時に二人の聖女。性別が違ってももしかすると――。
赤い瞳の聖女から赤い瞳の男が生まれる事は無かった。
だから、期待されていた。双子ならもしかして――。結果クロウの瞳の色は違った。
赤い瞳の聖女から生まれた男が他の人間と結婚すると赤い瞳が生まれるかというとこれもまた無かった。
聖女の力は女にだけ受け継がれる。
血を維持するのにも、限界がある。そんな時に現れる野良女は救世主にも近い。本物であれば、新しい血をいれる事ができわたくし達の負担が減るのだもの。
「どうだった?」
「うん、一人しかいなかった」
「それは」
「ミリアから聞いていたナターシャって人」
「……そうですか」
目の色が違ってもクロウには特別な力があった。
わたくし達の母はとても強い力の持ち主だったが体が弱かった。子どもを残す、その為に使われたのはとても貴重な薬。
現存する花はもうないと言われる竜魔石に咲く花。残っている物は金の力でほぼわたくし達の国が持っている。万病に効く薬。その薬を飲んだからなのかどうかはまだ研究段階だけれど……。
「城にいないとなると、国は関わっていないのでしょうか……」
「僕にはわからない」
クロウは竜みたいな空を飛ぶ翼をはやすことができ、瘴気に入っても何も起こらない体だった。
そして、聖女の力と瘴気を感じ取れる力もあった。
ラヴェルを連れ空を飛び、城へ偵察に行ってもらった。
何か誤魔化したい事でもあるのだろうと踏んだのだけれど。
「ここも瘴気が出る気配はない。と、なると長居する必要はありませんね」
すぐに連絡をいれて、かわりの聖女をこちらに送ってもらおう。
わたくし達は、もう一つの目的を果たす為世界中を飛び回らなければならないから。
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