第43話 料理を作ってみましょう
そのまま動かずにどれくらいだっただろう。ブレイドが目の前にしゃがみこんでスピアーの首を掴もうとする。
「オレちゃんと仕事したやん? ちょっとは労ってくれてええやろ?」
スピアーが捕まえられる寸前に手を避け必死に訴える。仕事をしたということは……。
ブレイドも止まって、そこからどっかりと隣にあぐらを組んだ。
「瘴気が出たの?」
「出たでー」
「大丈夫だった?」
「もちろん。全部食べたったわ」
そう、スピアーもまたブレイドみたいに瘴気を食べる事が出来る。おでかけの前に彼らは一度確かめていたみたい。ちなみにその時私は……というとよく寝ていました。誰も起こしてくれないなんてちょっと疎外感……。まあ、スピアーのお仕事って瘴気を食べる事だった。これからブレイドや私が対応出来ない時に補助でって。任せるのは癪だけど心強くもある。一人で全部するのって心も体も大変だって知ってるから。
「ありがとう」
スピアーがいてくれたおかげで今日の買い物が出来たのだ。きちんとお礼を言っておこう。
「ええけど、今度はオレがエマちゃんと一緒に行きたいなぁ」
余計な一言でブレイドの手が飛んできた。スピアーはがしりと捕まり離されていく。
「もう、いいだろ」
「ま、まだや!!」
「エマが細くなってる」
「あ、やってもた」
私はスピアーの健康検知器でもないよっ!? 確かに細くなってるけども。
とりあえず、私の呪いを
「そうそう、頼んでいた物買ってきてくれたか?」
ルニアが聞くとブレイドは頷いていた。何度か外で待っているようにと言いつけられ出てくるまで待っていた時のあれかな? 何を買ってきてとお願いしていたんだろう。
「よし、じゃあエマこっちこい!」
「え?」
まさか、また走り込み!? 帰ってきたばかりで!?
よっぽど青い顔でもしていたのだろう。ルニアが慌てて私の頭を撫でる。
「大丈夫だから、リリーのところだよ」
名前を聞いてホッとする。まさか調理場で走り込みは始まらないだろう。
私は立ち上がりルニアについて行く。待っていたのは走り込みではなく、お料理教室だった。
「生きていくためには料理が出来ないとな!」
「う、そうだよね」
私、料理なんて食べるばかりで作った事ないのだけれど。
「じゃあ、わたしは走り込みの続きだっ」
「え!? 一緒にやってくれるんじゃ」
「わたしが作ったら死人がでるだろ」
いい笑顔を浮かべながらルニアは退散していった。
「さぁ、やってみましょう!! エマ様!」
「あの……」
本当に本当に私料理作った事ないんですけど、大丈夫なんでしょうか?
「誰でも初めてはあるものです」
まずは簡単なものをと、粉を渡された。
「パンを作りましょう」
この粉がパンになるの!? びっくりして二度見してしまう。えっと魔法が必要……なんてないですよね?
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