第62話 セクハラの対処法
無事にダンジョンコアを破壊してダンジョンを消滅させた探索者一行と特殊探索科の面々。
ダンジョンコアを守っている大型ゴーストは優達に触ろうとしたら消滅し、怪我も無く帰還した。……セクハラした中年男性の怪我は除外する。
「今回はお疲れ様。管理省に戻って報告書を作成して今日は終わりだ」
肉体的にも精神的にも疲れた優。数時間の探索だが、慣れていないので今回の探索で一番疲れきっていた。……セクハラした中年男性は除外する。
日野は男性探索者の面々と、リナは女性探索者の面々と会話している。市太郎は管理省職員と会話しており、優は疲れてその場に休んでいると、
「この子が新しく入った子ね。可愛い子ね」
とリナと女性探索者達が優に話しかける。優は「よろしくお願いします」と頭を下げる。
そして女性探索者に可愛がられる優。小動物の様な優は女性探索者達に玩具の様に可愛がられる。そしてそれを見る男性探索者達。
「……なあ、あの小僧、ちょっとムカつくな」
「女に囲まれて良い思いをしやがって」
「あ、抱き着かれたぞ! あの豊満な胸を触ったぞ!」
「この憎しみで呪いたい……」
「アンチマジック能力者だぞ、呪いは効かんぞ。無駄な努力だ」
「オレの呪いはアンチマジック能力を超越する! 呪いよ奴に集まれ!」
嫉妬の対象となる優。それを見ている日野は「おっさん達も今回の金で遊び行けよ」と笑いながら言った。
優達はダンジョン管理省に戻り、特殊ダンジョン探索班の部屋で着替えて寮へ帰る。
そして帰りの車内で。
「今日は楽勝だったな、現道も初めてのダンジョンが楽勝で良かったな」
「でも、緊張して疲れました。あれは楽勝レベルなんですね」
日野が楽勝と言うが、初心者の優には大変だった。そして一番大変だと思ったのは、
「リナさん、大丈夫でしたか? そ、その、セクハラされて……」
「優君、余り思い出させないで。馬鹿な駄犬として認識している最中だから……」
リナはダンジョン内でセクハラされて落ち込んでいると思った優。
「今度会ったら絶対に訴えてやるわ! 示談なんてさせない! 女性探索者支援団体に連絡して、あの中年オヤジの探索者人生を辞めさせてやるんだから!」
「リナ、女性探索者支援団体には連絡済みだ。次号には『月刊女性探索者』にセクハラ中年探索者として掲載されるはずだ」
……リナは怒っていた。そして裁判を考え、中年男性の探索者人生を終わらせようとしていたが、被害者の姉のメイは月刊誌に掲載してもらう様にしていた。ちなみにリナのセクハラ被害を月刊誌に掲載されるのは二十回を超え、探索者以外の一般人等にもセクハラされているリナ。
女性探索者支援団体とは文字通り、女性の探索者を支援する団体。当初は力の弱い女性探索者を守る為に出来た団体だった。そして一般人にも女性探索者の事を知ってもらう為に月刊誌の『月刊女性探索者』を作成して出版した。内容は女性探索者達の情報、セクハラ男性探索者の掲載、女性探索者向けの装備品やファッション、ゴシップ記事、美人探索者を凛々しい写真などが掲載されている。
ちなみに新家メイは『凛々しい女性探索者』として写真が載り、新家リナも『日本最初の特殊探索者』として月刊女性探索者に載っている。
探索者以外の一般人にも読まれており、中学校時代の優のクラスメイトの女子達も愛読していた。男女共に人気がある雑誌でかなりの部数を発行している。
「リナ君、新家先生。管理省からも厳重注意を出したので、余り余計な事をしないでほしい。……月刊誌の掲載は許可しますので訴えるのは、面倒なので止めてください」
リナがセクハラさせる度のお馴染みの会話で、日野はどうでも良いと言った雰囲気。優は女性陣の対応にオロオロする。
「そういえばリナ君。今度、月刊女性探索者の担当者から『流行のファッション写真を表紙にしたい』という連絡があった。未成年者なので断っているが……」
「ありがとう、イチ君。さすがに表紙に載るのは少し恥ずかしいからね」
「新家先生にも連絡があった。水着写真を撮りたいという事でしたが、教師という職に就いているので断りました」
「勝手に断るな! 水着姿に悩殺されて結婚を申し込んでくる男が……」
「いません。現実を見てください」
ズバッと切る山田市太郎。そして反論する新家メイ教師を落ち着かせるリナだった。
車内は騒がしいまま帰路に着く。
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