第51話 観月vsエミリアの奉仕

 事が終わった後、桜子はベッドの上にその小さな体を横たえていた。桜子の部屋でしたので、そこは女の子らしい可愛い部屋だった。たくさんのぬいぐるみが飾られていて、少し幼い印象すらある部屋だ。


 そして、桜子はぎゅっと和樹にしがみつく。

 

「えへへ……これでわたしもお兄ちゃんの女の子だね」


「そうだね」


 和樹は後悔に襲われそうになった。自分よりも三つも年下の13歳の女の子を欲望のままに抱いてしまった。

 もちろん、それは状況を考えれば仕方のないことで、桜子自身が望んだことなのだけれど。


 桜子がそっと和樹の頬を撫でる。


「お兄ちゃん、そんな顔しないで、わたし、お兄ちゃんにしてもらえて嬉しいもん。それに……透子お姉ちゃんより先にお兄ちゃんに抱いてもらえたし」


 桜子がくすりと笑う。桜子は透子に劣等感を持っていたみたいで、それはかつての和樹も同じだった。


 ただ、和樹は透子の婚約者で、美人で有能な透子が自分の結婚相手になることは誇らしいことでもあった。

 一方、妹の桜子は、ただただ姉へのコンプレックスに苦しんでいたんだろう。


 だからこそ、和樹に透子より先に愛されたことに、喜びを覚えているんだろう。


「でもね、和樹お兄ちゃんが大好きなのも本当だよ? だから、お兄ちゃんの子供を産んでもいいし」


「こ、子供を産むなんて、そんな……。桜子はまだ中学生だよ?」


「でも、身体は子供を産めるもの。敵に襲われてひどいことされて妊娠させられるぐらいなら、お兄ちゃんの子供がほしいな」


 甘えるように、桜子は言う。

 たしかに、桜子たち東三条の女性は不安定な立場に立たされている。また桜子が襲われてしまう可能性はまだまだありうるのだ。しかも、形式上、桜子たちは和樹の所有物になっていた。


 なので、七華族の取り決めでは、和樹が桜子に子供を産ませるのは問題ない。桜子自身には魔術の才能はなくても、和樹の血を継げばその子供は霊力を受け継いでいる可能性が高い。


(といっても、ここは現代日本だしな……。観月を妻にして、桜子たちを愛人にする……なんて許されるはずがないよ)


 女子中学生を妊娠させたら、和樹も桜子も学校に通えなくなる。いや、二人の通っている私立中高は七華族から莫大な寄付金を受け取っていて、その支配下にあるので、融通は効くかもしれないが……。


 そんなことで悩んでいたら、桜子が突然、和樹の頬にちゅっとキスをした。

 驚いて振り向くと、桜子は上目遣いに和樹を見つめていた。さっきまで一糸まとわぬ姿だったのが、今は毛布で身体を少し隠していて、それがかえって扇情的だった。


「複雑なことを考えないでいいと思うの。お兄ちゃんがすることは、わたしたちの敵を倒すこと、わたしたちを幸せにしてくれること。それだけだから」


「……桜子の言う通りだよ。だからこそ、俺は迷って、困っている」


 白川家を無事に倒せたとしても、その先、和樹たちはどうすればいいのだろう。

 七華族の均衡は崩れた。怨霊、魔術を悪用する者たち、そして七華族の他の家……と敵は無数にいる。


 そのなかで、和樹が観月を、透子を、桜子を、エミリアを、他の女性たちを守るためには何をすればいいのか?


 桜子は微笑む。


「とりあえず、もう一度、わたしを抱けばいいと思うよ?」


「そ、そういうわけには……」


 そのとき、部屋の扉が勢いよく開いた。

 慌てて振り返ると、そこには観月とエミリアの中学三年生組二人がいる。


 下着姿の観月はジト目で和樹たちを睨み、バスタオル姿のエミリアは恥ずかしそうに顔を赤らめていた。


「兄さんは白川家討伐への出発前までに全員を抱くんです! 二回目をするよりもそっちの方が霊力が高まりますから」


「えー、それって観月お姉ちゃんがお兄ちゃんに可愛がってもらいたいだけ――えっ、ちょっ、観月お姉ちゃん!」


 観月は桜子の毛布を剥いでしまう。桜子はさすがにうろたえていた。


「は、恥ずかしいよ……お姉ちゃん。も、もしかしてお姉ちゃんって、女の子にも興味があったり……?」


「しないです! わたしが好きなのは男も女も含めて、兄さんだけですから!」


 観月は叫ぶと、急に恥ずかしくなったのか、うつむいた。

 和樹は苦笑すると、ぽんぽんと観月の頭を撫でた。


 観月はむうっと頬を膨らませる。


「兄さんは、わたしより先に桜子さんを抱きました。ひどいです。わたしが兄さんの一番なのに……」


 観月は嫉妬して、すねているようだった。

 好きな相手が他の女の子とも寝ていれば、不安になって当然だろう。


「ごめん、観月……」


「仕方ないってわかってます。だから、戦いから戻ってきたら、一日中、わたしだけが兄さんに可愛がってもらうんですから」


「い、一日中!?」


「逃しませんよ? お風呂でもベッドでも、兄さんとエッチなことをするんです。学校でしてもいいかも……」


「学校はまずいんじゃない?」


「平気です。だって、わたしは兄さんの妻になるんですから」


 そう言うと、観月はそっと和樹の肩を押した。そのまま二人はベッドに倒れ込む。

 桜子がびっくりしている。


「こ、ここでするの? お姉ちゃん……?」


「時間がないんです。エミリアさんも一緒に!」 


 観月の声に、エミリアは青い目を大きく見開いた。


「わ、私もですか!?」


「三人一緒じゃないと、ダメです! 兄さんは……渡さないんですから!」


 観月は完全に嫉妬モードになっていて、和樹とエミリアを二人きりにさせるつもりはないようだった。

 とはいえ、エミリアを守るためにも、和樹の霊力のためにも、今、二人はエッチなことをする必要がある。


 エミリアも覚悟を決めたようだった。


「いいです。それなら、観月さんより、私が先輩を満足してみせますから!」


 そう言って、エミリアはバスタオルを脱ぎ捨て、そして、和樹のもとへと倒れ込んだ。

 二人の美少女が左右から和樹に迫ってくる。


「兄さん?」


「先輩?」


 観月とエミリアは、和樹の歓心を買おうと、その大きな胸を強調するように和樹に密着した。






<あとがき>


カクヨムコンも終盤……そしていよいよ白川家との最終決戦へ!

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