義妹たちとの幸せな結婚 ~婚約者のお嬢様に捨てられた俺に、可愛くて優しい美少女の義妹がぐいぐい迫ってくる。「わたしが兄さんの恋人になって、幸せにしてあげます!」~
第44話 風呂場に金髪碧眼の美少女乱入者
第44話 風呂場に金髪碧眼の美少女乱入者
いくら守るためとはいえ、一つ年下の中学生の女の子を、男の家に来るように言うなんて、失言だったと和樹は思う。
しかも、知り合ったばかりなのに。
けれど、エミリアは和樹を上目遣いに、期待するように見た。
「あ、あの……それって、しばらく泊めていただけるってことですか?」
「う、うん。そのつもりだよ。もちろん観月たち女性も一緒だから、安心してよ」
「……ありがとうございます! ぜひそうさせてください」
「い、いいの?」
「はい。白川の家にいれば……その、ひどいことされちゃいますし。ご迷惑はおかけしませんし、恩返しもしますから」
「そんなこと気にしなくていいよ」
和樹がそう言うと、エミリアは少しためらい、そしてぎゅっと和樹の右手を両手で握った。
和樹が驚いて固まる。白い手の温かさにうろたえていると、エミリアは微笑んだ。
「祝園寺先輩なら信頼できそうだと思いましたし」
「知り合ったばかりなのに?」
「あの優しい観月さんのお兄さんですから。それに、危険なのに、さっき助けてくれました。か、かっこよかったです」
エミリアはほんのりと顔を赤くして、そう言った。
桜子に言われたとおり、和樹はエミリアの好意を得られるかもしれない。
(そうなれば……)
エミリアを和樹のハーレム(?)に加え、そして、霊力を得るために子作りすることも現実のこととなる。
和樹は心の中で首をぶんぶんと横に振ると、そんな考えを否定した。
これではエミリアを利用するようなものだ。白川家と大きな違いがなくなってしまう。
けれど、エミリアは柔らかい笑みを浮かべる。
「私、自分を守ってくれるかっこいい男の人と結婚するのが夢なんです」
「白川さんなら、そういう人がきっと現れるよ」
「そうですね。だって、その人は、今、目の前にいるかもしれませんから」
エミリアは甘え、媚びるように和樹を青い瞳で見つめた。
☆
結局、エミリアは東三条の屋敷に来ることになった。東三条の前当主夫人、つまり結子を通して、白川家の当主には話を通した。
そのまま白川家の屋敷にいれば、エミリアは異母姉のせいで男たちに傷物にされてしまう。
だから、仕方のない緊急避難的な措置なのだ。
エミリアの受け入れについて、東三条家でもそれほどの抵抗感はなかった。
観月は自分が一番の正妻だから自信があるし、桜子はそもそもハーレムを主張した子だ。結子は和樹に絶対服従を誓わされているし、朱里は和樹の身体にしか興味はない。
けれど、透子は不満そうだった。
「中学生の女の子が、一つ屋根の下で男子と一緒に暮らすなんて不健全よ」
「透子お姉ちゃん……同い年の男の子に妊娠させてって迫ったお姉ちゃんが言っても、まったく説得力ないよ?」
桜子に言われ、透子はぐぬぬと黙ってしまった。
和樹は苦笑した。
東三条家のリビングで今後のことを会話していたのだ。豪華なシャンデリアの明かりに照らされながら、桜子が微笑む。
「でも、和樹お兄ちゃんは完璧だね。一日でエミリアさんを攻略しちゃうし♪」
「いや、そういうわけじゃなくて……たまたま避難場所の提案をして、受け入れてくれただけだよ」
「女の子は、好意のない男の子の家に泊まったりはしないよ?」
それはそうかもしれない。しかも、和樹と結婚したい、というのと近いようなことを言われてしまった。
ただ、エミリアがこの状況を見たらどう思うだろうか? 和樹は義妹の観月に手を出して抱いてしまっていて、しかも東三条の女性たちも和樹のハーレム入りを希望している。
それでもエミリアは和樹に好意を持ってくれるかは、かなり疑問だった。
玄関の呼び鈴が鳴る。エミリアが来たらしい。
和樹が迎えに出ると、セーラー服の金髪碧眼の美少女が立っていた。白川エミリアだ。
何度見ても印象的な女の子ですらりとしているし、日本人の女子中学生とは思えないほどスタイルも抜群だった。
「お、お邪魔します……祝園寺先輩」
「ようこそ、白川さん」
ぎこちなく二人は挨拶して、互いに微笑む。考えてみると、観月は妹だし、透子も身内みたいな幼馴染だから、女の子を家に上げてドキドキというのは初めてのシチュエーションかもしれない。
といっても、ここは東三条家なのだけれど。
部屋へ案内するために廊下を二人は歩く。和樹の少し後ろをエミリアはついてきた。
観月なら並んで歩くし、透子なら和樹の一歩先を行く。エミリアは少しタイプの違う女の子だと和樹は思った。
和樹はその途中、東三条家が祝園寺の傘下になるまでの経緯を説明しようとした。
けれど、エミリアは首を横に振った。
「状況は私も知っています」
「そうなの?」
「はい。お兄様が喋っていましたから」
白川家の嫡男のことだ。やけに情報が早いなと和樹は思う。
和樹はすぐにその理由を知ることになる。
エミリアを客室に案内した後、その日の夜の途中までは平穏だった。
エミリアも含めて、祝園寺・東三条一家は夕飯をとる。結子が母親らしく手料理を振る舞ってくれたのだ。
結子は前回の一件の責任を取らされ、東三条の下働きの女性扱いを受けている。実質的には、「和樹お兄ちゃんの奴隷みたいなものだよ?」と桜子にまで言われてしまっている。
そんなふうになってからのほうが、母親らしくなったのが不思議といえば不思議だ。
結子は、自分の料理を嬉しそうに食べる娘たちを見て、嬉しそうな笑みを浮かべていた。
問題はそのあとに起きた。
和樹の入浴中、風呂場には東三条の女性が入ってくることを禁止していた。東三条当主代行の権限があるから、透子たちは和樹の命令に逆らえない。
昨日は透子、桜子、結子、朱里とフルメンバーで子作りを迫られて困ってしまっていた。
ついでに、正妻(?)の観月にも、他の女性と同様に一緒に入浴は控えるように言ってある。
観月は「兄さんの身体、洗いたいのに……」と残念そうにしていたけれど、裸の観月を見たら、和樹は襲ってしまう。風呂場でエッチなことをするのは、さすがに他の東三条の女性に示しがつかない。
(風呂場は声がよく響くし……)
想像して、和樹は悶々としてしまう。
早く上がってしまおうと和樹は考えた。けれど、和樹は一緒の入浴を禁止していない女の子が、一人だけいることを忘れていた。
「し、失礼します……」
浴場の扉が開き、和樹が慌てて振り向くと、そこにいたのはバスタオル姿の白川エミリアだった。
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