義妹たちとの幸せな結婚 ~婚約者のお嬢様に捨てられた俺に、可愛くて優しい美少女の義妹がぐいぐい迫ってくる。「わたしが兄さんの恋人になって、幸せにしてあげます!」~

軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\

第一章 義妹と結婚!?

第1話 兄さんが婚約破棄されたなら、わたしがもらっていきますね?

 義妹。血の繋がらない妹。


 彼女と知り合ったのだって、物心がついた後だ。

 本当の家族じゃないなんていう人もいるかもしれない。


 それでも、和樹にとっては大事な家族だった。10歳になったときに妹になった彼女は、家に初めてきたとき、不安そうに自分を見上げて言った。


「わたしはここにいていいんですか?」、と。


 それに自分は「もちろん」と微笑み、そして、彼女の頭を撫でた。

 彼女は少し照れたようなはにかんだ笑みを浮かべ、そして「兄さん」と自分のことを呼んでくれた。


 それから5年が経った。魔術師・・・の家系なんていう特別な家でも、二人は普通に兄妹として暮らしている。


 祝園寺和樹は、自分がそんな義妹と結婚するなんて、想像もしていなかった。

 それが現実の話題に上がったのは、婚約者の言葉がきっかけだった。


 ある日の放課後、幼なじみで同級生の婚約者が、和樹を呼び出した。


「貴方との婚約は無かったことになるから、和樹」


「え……」


 婚約者の思わぬ言葉に、和樹は固まった。

 振られたというということらしい。


 ここは星南学園高等部の渡り廊下だった。放課後の今、周りにはほとんど人がいなくて、窓から夕日が差し込んでいる。

 京都の歴史ある名門校で、中高一貫。和樹も婚約者もずっと一緒に通ってきた。


 婚約者の東三条透子は、和樹と同じ16歳。高校一年生だ。

 すらりとした強気な美人で、スタイルも抜群。さらりとした髪が、セーラー服の制服の肩にかかる。


 顔も人形のように整っているし、成績も優秀でテニス部のエース。人望も厚い。


 そんな彼女は、和樹の幼なじみで婚約者だった。


 もともとこの学園には名家の生まれの生徒が多い。透子は東三条グループの社長令嬢で、和樹の家も昔はそれなりの規模の会社を経営していた。


 両家とも旧華族で、戦前は東三条家は侯爵、祝園寺家は子爵という貴族だった。東京に大半の華族が移住するなか、京都に残った華族は少なく「七華族」と呼ばれている。


 七華族同士の交流は深く、家の都合で和樹と透子も婚約した。いまどき政略結婚なんて……と思うかもしれないが、この学園に通う生徒ではたまにある。

 

 透子とは、家族ぐるみの付き合いも合ったし、婚約者で同級生だから親しくしていた。

 そんな彼女と恋愛関係はないにせよ、いつかは結婚するんだと思っていた。透子は誰もが羨む理想の婚約者だったと思う。


 透子は小学生のときは「大人になったら、和樹くんと結婚するんだよね」と嬉しそうに笑ってくれていた。

 中学生になってから、お互いに異性を意識するようになって少し疎遠になったけれど、仲が悪くなったわけじゃない。


 美しく成長した透子と、和樹もいつか甘い関係になれるのではないかと期待していた。


 けれど、今、和樹は婚約を破棄された。

 透子はため息をつき、窓の外を見た。


「貴方の家、落ち目だもの。それに貴方には才能がないから」


 冷たい言葉が、ぐさりと胸に突き刺さる。

 たしかに和樹の家は没落気味だ。


 そして、自分で言うのも変だが、和樹は真面目で成績も悪くないけれど、透子ほど優秀ではない。ごく普通の、特別なところのない少年だと自分でもわかっている。


 でも、透子のいう「才能がない」とはそういう意味だけじゃない。

 七華族として「持っているべきものを持っていない」という意味だ。それは――。


「ちょっと。聞いてるの?」


 透子の言葉に、物思いから現実に引き戻される。彼女は肩をすくめた。綺麗な髪がふわりと揺れる。


「婚約の破談は、お父様たちとも相談して決めたことだから。じきに正式に連絡があると思うけど」


「そっか」


「それだけ?」

 

 透子は腰に手を当てて、なぜか不満そうに和樹を睨んだ。

 和樹は首を縦に振る。


「仕方ないよ。透子の言うとおりだし。俺は才能なんてなにもないし、特別なところもない。透子や東三条家に見捨てられても当然だ」


「私、貴方のそういう卑屈なところが嫌いだわ」


 透子はそう言うが、どうしようもない。和樹と透子では釣り合わない。


(でも、本当は俺も透子にとって特別な存在でいたかったよ)


 和樹はそう思い、胸がずきりと痛んだ。

 どうすれば、自分は特別な存在になれるんだろう?


 その答えは見つからなさそうに思えた。


 ところが、和樹も透子も一人の少女がすぐ近くに来ている事に気づいていなかった。


「和樹兄さん、それに透子さん……」


 やや高いソプラノの声にあわてて振り返ると、そこには小柄な少女が立っていた。


 長く艷やかな髪が、胸元にかかり、お淑やかで清楚な雰囲気を印象付けている。でも、大人しいだけではなくて、可愛らしい大きな瞳はきらきらと輝いていて、印象的だ。

 じっと和樹たちを見つめていた。


「観月……」


 和樹が名前を呼ぶと、彼女は一歩、和樹に近づいた。そして、制服の上着の裾をつまむ。

 その甘えるような仕草に、和樹は微笑んだ。


 観月は和樹の妹だ。観月は祝園寺家の養女なので、血の繋がらない義理の妹である。


 年齢は一つ下で、中学三年生。アイドルみたいに愛くるしい容姿と、お淑やかな雰囲気もあって、中等部三年の男子生徒が女子の人気投票をしたら一位だったとか。

 おまけに成績も学年一位である。


 自分の周りの女子は、どうしてこんなに特別な存在なのか。和樹はため息が出そうになった。

 透子はといえば、気まずそうに観月をちらりと見ていた。


「その……観月も今の話、聞いてた?」


「はい。透子さんは兄さんとの婚約をなかったことにするんですよね」


「そ、そうなの……。観月には悪いんだけれど……」


 観月と透子も昔なじみで、割りと仲良しだった。というより、透子は和樹よりも観月の方を気に入っていたようにも思える。


 そんな観月に対しては、透子も後ろめたさを感じたようだった。和樹との婚約を破棄すれば、祝園寺家との縁も薄くなるわけで、以前と同じような関係とはいかないだろう。


 観月はまっすぐに透子を見つめる。


「透子さんが謝るべき相手は、兄さんです」


「そ、それは……ごめんなさい。でも、本当は私……」


 透子は目を伏せて何かを言いかける。

 けれど、ほぼ同時に観月はすっと俺の隣に立つと、俺の右手をとり、軽く握った。和樹も、たぶん透子も、観月の行動の意味がわからず、戸惑う。

 

 観月は顔色一つ変えず、言う。


「透子さんが兄さんを裏切るというのなら、わたしに考えがあります」


「え?」


 観月は少し顔を赤くして、そして透子を睨みつけた。

 

「透子さんが婚約者でないなら、わ、わたしが……兄さんと結婚できますよね?」


 恥ずかしそうに、観月は小声で言う。


 観月の言葉に、和樹と透子は顔を見合わせ、そして、二人揃って「ええ!?」と驚愕の声を上げることになった。







<あとがき>


義妹たちとのイチャラブ&ハーレムです……! ファンタジーとちょっぴりエッチもあり!


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