ワークライフバランス(Bパート)
週刊『女性自信』10月号 WEB版
【ワークライフバランスに殺される】
――今年の『若者に影響を与えた女性20人』に選ばれた堀永さん。本当におめでとうございます。まずは今のお気持ちを教えて頂けますか?
堀永:ありがとうございます。全然予想していなかったので、嬉しいよりも驚きの方が大きいですね。まだあまり実感はないです。
――そうなんですね。堀永さんの著書『働き方の多様性』に書かれている『ワークライフバランスに殺される』は昨年の流行語大賞にもノミネートされましたが、あの言葉はどうやって生まれたのでしょうか。
堀永:実は私、『ワーク・エンゲージメント』なんですよ。仕事が本当に好きで、仕事の充実が人生の充実に直結しているタイプの仕事人間なんです。仕事に強迫観念を感じている『ワーカホリック』ではないので安心してください(笑) でも、最近はそういう働き方をする人を「古い」って
――え!? そうなんですか? もしかしたら、私も『ワークライフバランス』の意味を間違って覚えているかもしれないです。差し支えなければ教えて頂いてもよろしいでしょうか?
堀永:ワークライフバランスって「私生活と仕事は切り分けましょう」とか「残業なんかしないで私生活の時間を大切に」みたいな論調になりがちですけど、本当は『仕事も私生活も充実させて好循環を目指す』ことなんです。だから仕事の時間を短くすればワークライフバランスというわけではないですし、一生懸命働くことで私生活が充実するなら、それでも構わないハズなんです。
――なるほど。私、今日ひとつ賢くなりました。それでは若手女性起業家としての堀永さんは今もワークライフバランスを意識しながら働いていらっしゃるということですね。ちなみに起業するときのキッカケなんかはあったんでしょうか?
堀永:そうですね。やっぱり間違ったワークライフバランスに潰されそうになったことですかね。ほら、会社員やってると
――え!? そんな話をしちゃって大丈夫ですか? でも詳しく聞きたいです(笑)
堀永:本来働いている時間より短く時間をつけてたんですよ。正直に時間をつけたらすぐに残業時間が36協定違反になっちゃうものですから。上司も気づいていたと思いますけど、見て見ぬふりをしてくれていました。私のほかにもやってる人はいたんですけど、ちょっと派手にやりすぎちゃいましたね(笑)
――なるほど。それで、どうなったんですか?
堀永:同僚が上司に詰め寄っちゃったんです。「なんで堀永にサービス残業をさせているんだ」とか「あんたの仕事の振り方が間違ってるからだ」とか。その人はまさにワークライフバランスを間違って覚えちゃっているタイプの人で、他人が仕事に人生を費やしていることも気に入らなかったんでしょうね……。結果的に、尊敬していた上司は処分を受けることになり、私は監視の目が厳しくなって思うように働けなくなりました。そのときには会社を辞めることも、会社員をやめることも決めていて、あとは起業するか、フリーランスになるかの二択って感じでした。
――それは……なんとも。余計なおせっかいでしたね。
堀永:彼もきっと悪気はなかったでしょうし、純粋な気持ちで私のことを助けようと思ってくれたのだろうと思います。ただ『働くことが幸せ』という私の価値観が、彼にとっては理解しがたいものだっただね。それが唯一で最大の問題だったんだと思います。ちょっと宣伝みたいになっちゃって恐縮なんですけど、拙著の『働き方の多様性』を書こうと考えたのも、このことがキッカケでした。
――おお! ここで冒頭のお話に繋がりました。あの本を読んで「もっと働いてもいいんだ」とか「思いきって副業をはじめました」といった声が多く見られるようになりましたよね。
堀永:私と同じような気持ちで苦しんでいた人たちに、「もっと自由に働いていいんだよ」というメッセージを届けられたことは本当に嬉しく思います。働くことが
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【Bパート 了】
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