【ー天災ー】60
「ホンマ、望が無事で良かったわぁ。 東京で大地震が起きたってニュースで聞いて、まず初めに望の事が心配になってもうて、連絡しようにも全然携帯が繋がらへんかったし、人命救助よりホンマは望の事が心配で心配で、でもな、こっちに来て、望に会えて、良かったって思うてしまってたんや。 こういう俺ってレスキュー隊の資格なんてあらへんなぁ」
「まぁな。 確かに俺からしてみたら俺の事を一番に思ってくれてるのは嬉しい事なんだけど、お前はその為に来た訳じゃねぇんだしさ。 今の東京には助けを求めている人が沢山いるんだ。 だから、俺からもお願いする。 お前の力で助けてやってくれよ」
「お前もやからな」
「ああ、そこは分かってる」
そう望が最後まで言い切らないうちに部屋の電気が消されてしまう。
「え? あ、アレ? な、何!?」
「節電の時間だ」
「そうやったんか……って、ホンマ何も見えへんねんけど?」
「まぁな……」
昨日は突然のことで望の方もうろたえていたのだが、電気が消されたという事はもうそういう時間だったって事だろう。
「まぁ、そういう事だからさ、俺達も寝ておかないとな?」
そう言うと、望は雄介の手を取ると立ち上がる。
「え? あ、ちょ、怖っ!」
「いいから、俺の手を離すんじゃねぇぞ。 ベッドまで連れて行ってやるからさ」
「あ、ああ」
雄介は望に言われた通りに大人しく今は望に付いて行くしかなかった。 望に手を引かれて歩いて行くと、こんな暗闇の中でも部屋の構造は分かっているのか望はあっという間にベッドへと辿り着いていた。
「ここにベッドがあるから気を付けて寝ろよ」
「ああ、ありがとうな」
そして二人はベッドへと転がる。
「望……ホンマ、良かったわぁ」
そう雄介は口にすると望の事を確かめるように頭や体を触り始める。
「まぁな、ここは倒壊を免れたしな」
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