【ー天災ー】4

 それを思わず口にしてしまった雄介。


 その声がどれ程大きかったのであろうか周りにいる同僚達が雄介の方へと視線を向けてきていた。


「……へ?」


 雄介は今まで顔を伏せていたのだが、その視線で顔を上げる。


「どうしたんだ桜井? そんな大声出してさぁ」


 そう雄介は親友である坂本に声を掛けられる。


「あ、ああ! な、何でもあらへん! 気にすんなや、こっちの話やし」


 そう雄介は言ったのだが、坂本はそんな雄介の仕草に何か気付いたようで、


「……もしかして掲示板の事か?」


 その何気ない坂本の言葉に目を丸くする雄介。 だが坂本には嘘を吐きたくはなかったのかそこは素直に、


「まぁな」


 と答えるのだ。 そしてため息を吐く。


「仕方ないさ」

「分かっとる。 でも、ああ! 何でもないわぁ」


 雄介はそこまで言うと、言葉を止め顔を俯かせるのだ。


「おい、そろそろ、訓練の時間だぞ」

「ああ、おう、そうやったな」


 午前中はデスクワークが中心なのだが、午後からは訓練がある。


 訓練だって大事な仕事だ。 デスクワークを切りのいいところで終わらせると雄介は着替えて外に出る。


 今の季節、長袖の防護服では結構暑い。 だがそれは自分の命を守る為には仕方がないことだ。


「ホンマ、暑いわぁ……」


 外に出ると更に容赦なく太陽が照り付け本当に暑い程だ。


 まずは道具などの点検から。 点検を済ませるとこの暑い中での訓練が始まる。 いや現場では火事って事が多いのだからもっともっと防護服の中が暑くなるのだから、まだまだ外での訓練というのは雄介達からしてみたら涼しい方なのかもしれない。

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