【ー記憶ー】77

「うん……ハックション! もう、行こうぜ。 早く着替えてぇし」

「ああ、そうやな。 洋服屋はどこやろうか?」


 雄介の方は望のその言葉で望から離れて洋服屋を探し始める。


「あ! あった!」

「おう!」


 雄介は洋服屋を見つけると指差す。


 その場所というのは今は出たデパートから少し離れた商店街の中にあって二人はその洋服屋を目指し歩き始めるのだ。


 そして店内へと入ると、望は適当に選びレジへと向かう。


 そこでクレジットカードを出したのだが、どうやらそれは通らなかったようだ。


「これって乾いたら元に戻るのかな? ってか、財布の中、あのスプリンクラーのせいでビショビショじゃねぇか……」


 望は財布の中を開けると小銭もお札もと中身はビショビショになってしまっていたのだ。 そりゃあ当たり前だろう。 天井にあったスプリンクラーから大量の水を浴びたのだから。


「どやろ? 戻るんかな? 再発行してもらった方がええんと違う? ま、とりあえず、ここは俺が出しておくし」

「ああ、サンキュー。 それは後で払うからさ」

「ええって、デート記念って事にしとくから」

「……そうか。 ありがとうな」


 望はそこで新しい服へと着替えると二人は今度は検査の為に病院へと足を向ける。


 だが、その途中で足を止める望。


「ちょ、ちょ……待った」

「へ? あ、ああ……疲れたんか? ほな、あの木の下のベンチで休もうか?」


 あの火事の後に歩いたからなのか望はあの火事で体力が消耗してしまったのか急に休みたいと言い始める。


 そして木陰のあるベンチへと急ぐのだ。


「ホンマに大丈夫か?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る