【ー記憶ー】49

「そうやったんかー、それやったら、めっちゃ嬉しいわぁ。 な、ほんなら、望とイチャイチャな事してええ?」

「はい? それは流石にダメに決まってるだろ?」

「ほら、イチャイチャとかして動いたら熱下がるって言うやんか」

「それは間違った知識だな。 そんな事したら余計に熱は上がるんだよ。 それと動くと体力も使うだろ? だから、風邪の時にも安静が必要な訳。 それに、体が調子悪いって訴える時には体が休みたいって言ってるんだから、体を動かしてどうするんだよ」

「そうやったんか? ほなら、俺が治ったら?」

「まぁ、そん時は抱かせてやるからさ」


 望の方は雄介の体を抱き締めると、雄介は望の胸の辺りに顔を埋める。


「ほんなら、おやすみ」

「おやすみ」


 今日は何もなしに眠りにつく二人。




 そして次の日。


 望は目を覚ますと急いで仕事に行く準備を始める。


「望は行ってまうんか?」

「ゴメン! 本当は雄介の側に居てやりてぇんだけど、手術が入ってるからさ」

「そりゃ、確かに無理やんな」

「ああ、そういう事だから」


 望は両手を合わせて雄介に向かい謝り部屋を出て行こうと思った直後、雄介に向かい、


「あのさ、雄介が良かったらでいいんだけど、ここに一緒に住まないか?」

「……へ? 今なんて?」


 そう望にもう一度聞こうとしたのだが、既に望の姿はそこにはなかった。 きっと望の性格上、そんな事、面と向かって恋人に言える訳もなく、だから自分が出掛ける寸前に雄介に対してそう告げたのであろう。


 望が出掛けてしまった後、独り言を呟く雄介。


「今、確か……『一緒に住まへんか?』って言うてなかったか? 望がそれでええって言うんやったら、それが一番嬉しいんやけどな。 それだけ、望も俺の事好きやっていう事やろうし」

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