【ー記憶ー】36
「……って、おい!」
雄介は今の望の答え方に体がよろけそうになったのだが、直ぐに体勢を立て直して、
「あんなぁ? お前医者やろ? そういう事勉強してこなかったんか?」
「したよ。 だけど、自分で作るのめんどくせぇし、一人分だと野菜とか余るじゃんか。 だから、最近は時間とかある時にしか作らないかな? ま、そこは栄養剤でどうにかしてるって感じだな」
「ま、まぁ、ええわぁ……そこは、これからは毎日のように俺が作ったるしな。 二人分位なら材料余らへんやろ?」
「え? あ、まぁな……って事はこれから仕事終わってから来るって事か?」
「まぁ、正確には一日置きって事になるんかな?」
「一日置き!?」
「ん? 消防士の仕事って知らんの? 基本的には二十四時間勤務やねんって」
「へぇー、そうだったんだな」
「ま、ええわぁ。 ほんで、この前の話なんやけど、望は俺の温もりを忘れたくないって言うておったよな?」
その雄介の言葉にこの前の事を思い出してしまったのであろう。 急に望は顔を真っ赤にするのだ。
そして気付くともう大型スーパーの駐車場へと着いていた。
「昨日、そう望は電話で言うてくれたやんか。 だから、こう俺は毎日のように望んとこに行くって約束したやろ? まぁ、正確には一日置きって事になったんやけど」
雄介は望の手首を掴むと自分の方へと引き寄せ望の事を後ろから抱きしめる。
「望は……俺の温もり忘れたくないんやろ?」
昨日、望が言ってくれた言葉を電話越しではなく望の耳側で言う雄介。
その台詞を言われると望の方は恥ずかしくて仕方がないようだ。 雄介の方に顔を向けてないようなのだが、顔を真っ赤にしているのだから。
だが望の方は電話の時のようになかなか言葉に出来ないようで黙ってしまっている。
それが望の性格なのであろう。
そう本人を目の前にすると面と向かって言葉に出来ないタイプなのかもしれない。
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