【ー記憶ー】28

 雄介の部屋は1Kだったのだが、そんなに荷物とかが無いのか広く感じる。


 そう部屋にはベッドとテレビとちょっとしたテーブル位しかないからなのかもしれない。


 雄介は和也をテーブルへと進めると冷蔵庫の中から缶ビールを出してくる。


「ビールでええか?」

「今は酒はいらねぇよ。 俺、車だしさ」

「ああ、そっか……。 なら、麦茶でええ?」


 そう言うと雄介は自分には缶ビールを持って来て和也には麦茶を用意しテーブルへと運んで来る。


 雄介はテーブルへと座ると、缶ビールのプルタブを開けて一口口にし、


「……ほんで、話って?」

「あ、ああ、そうだったな。 な、お前さ、この前、望と喧嘩しただろ?」

「え? あ、ああ、あれは喧嘩ではないやろ? ただ単に望が俺の事嫌いになったしもうただけなんやと違うか? ほんで、俺はそう思うたから帰って来たっていうだけやしな」

「じゃあ、どうして、望がお前の事嫌いになったって思うんだ?」


 そう和也は雄介の事を真剣な瞳で見つめる。


「そりゃ、あん時、俺の事を拒否したからに決まっておるやろっ!」


 雄介はビール片手にそのビールをバンッと机に叩きつけるように置くと、何故か和也の事を睨みつけてしまうのだ。


 だが和也はそんな雄介の態度に動じる事なく、


「そうか……たったそれだけの理由だったんだな」


 そう和也の方はその雄介の言葉に何故かクスクスとしているだけだ。

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