ex 取引
神崎の問いにディルバインは答える。
「具体的な事は口頭では難しいがね、簡単に言えばキミ達の世界を守るダンジョンの脆弱性を突いたんだ。現状ダンジョンの防衛システムは強固だが、特定の条件を満たしたやり方なら、少数限定となるが確実にこの世界へと人員、もしくは兵器を到達させる事ができる」
「……確実にか」
「ああ。だから僕が此処に居る。流石にそういう類いの博打を打つ程の勇気は僕には無い」
「その特定の条件とはなんだ」
篠原がそう問いかけると、ディルバインは小さく溜息を吐いてから言う。
「先に言った通り口頭での説明は難しい。これはキミ達には理解できないだとかそういう煽りのような事を言っているのではないよ。非常にややこしい理論が詰め込まれた技術の結晶で突破しているんだ。最低限でもプレゼン資料を用意しない事には無理だ」
「……それはすまない。難しい事を聞いたな」
「何故あなたが謝る。お手柔らかにとは言ったがそれは違うぞ……」
呆れるようにそう言ったディルバインは、一拍空けてから言う。
「ただ現状説明できる範囲で頭に入れておいて欲しいのは、そういう非常に限定的なやり方でようやく少数のみを送り届ける技術が確立されたという事だ。今の時点では無数の兵が攻め込んでくるような事は無いだろう。安心しろとは言わないが、現状そういう猶予がキミ達には残されている事は伝えておくよ」
その言葉は一見神崎達を安堵させるような言葉だが、決して楽観的には受け止められない。
「猶予……か。つまり今はまだ大丈夫ってだけの話か」
あくまでディルバインが語っているのは現状の話だ。
いずれ変化が訪れる現状の話。
「ああ。綻びを広げようとする誰かが居る限り、手を打たなければいずれ取り返しが付かない事になる。だからキミ達は早急にダンジョンの脆弱性を取り除くべきなんだ
誰の力を借りてでもね」
そしてディルバインは真っすぐな視線を向けて言う。
「僕の立場で言える事では無いが、聞くだけ聞いてくれ。取引をしないか」
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最近の急激な文字数の現象で察しているかもしれませんが、文字数やクオリティ共に現在の更新速度だと限界が来ているので、可能な限り毎日更新は心がけますが、今後普通に一、二日空くかもしれないおだけ告知しておきます。
気長にお付き合い頂けると嬉しいです。
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