7 助けた理由とそういう趣味嗜好

「助けた理由……か」


「普通に考えて助けるメリットが鉄平には無い訳じゃ。そりゃ疑問の一つや二つ位湧くじゃろう」


「まあお前から自分乗っ取ろうとした相手を助けようとした訳だから、そりゃ意味分からねえよな……とりあえずあの時俺はさ──」


 別に隠すような事でもないので答えようとすると。


「あーちょっと待つのじゃ。分かったぞ、何故鉄平がワシを助けたのか」


 そう言ってユイは親指で自分を指し、ドヤ顔を浮かべて言う。


「鉄平、お主ワシに惚れたな」


「はぁ!?」


(なーに言ってんだコイツ)


「キュートなお顔に魅惑のボディ。剣のフォルムと比べれば見劣りするが、それでもワシは最強じゃ! とっぷおぶびゅーてぃーなのじゃぁ……」


 疑いの余地がないと言わんばかりの完璧なドヤ顔を浮かべるユイだったが、鉄平の表情は険しい。


「どうじゃ! 正解じゃろ!」


「いやちげえよ、正解な訳ねえだろ馬鹿」


 真っ向から否定させてもらう。


「え、ち、違うのか?」


「違うな、全然違う」


 超々童顔のスーパー幼児体型。というかキッズそのもの。


「その理由で助けてたら俺完全にロリコンになるだろうが」


「え、なんか結構な侮辱をされている気がするのじゃが」


「いや侮辱じゃねえよ。でも人の容姿の事直接言いたかったねえけど、多分一般的にそういう風に見るには童顔過ぎるし魅惑のボディーにも程遠いだろお前」


 確かにユイは滅茶苦茶可愛いくて、いわゆる美少女というカテゴリーに分類されるのは分かっているが、そういう対象として見るかと言われれば話は別だ。

 普通にそういう風に見ちゃいけない。


 そしてユイは凄く不機嫌そうにジト目を向けて言う。


「おいもしやお主ワシに喧嘩売っとるのか?」


「いや売ってない売ってない」


「いーや売られたの。だから見せてみい、そこまで言うなら」


「えっと……何を?」


「ワシを越える凄いのをじゃ!」


「……」


 さてどうしたものかと考える。


(ユイの精神年齢がいくつくらいなのか分からねえけど、こういうの見せて良いのか……?)


 一応見せろと言われれば見せられる物がある。


(まあR18とかではねえしな、出すかこれを)


 そう結論を出して、近くに置いてあった青年漫画雑誌に手を伸ばす。


「これが俺の答えだ!」


 そして開いて突き付ける。

 大人気アイドルの圧倒的水着グラビア特集……!


「よしきた。どっちが本物のとっぷおぶびゅーてぃーか勝負じゃ!」


 そう意気込んで雑誌を受けとるユイ。


「ほう……なるほど……なる……ほど? ……………………え、…………ナニコレェ…………こんなのエッチじゃん……え……えぇ…………」


 次第に顔を真っ赤にさせながらぶつぶつとそう呟いた後、静かに雑誌を閉じるユイ。

 そして賞状でも手渡すように丁寧とこちらに雑誌を返してから、目を反らして震えた声で呟く。


「……生意気な事言ってすみませんでした」


 ショック受けすぎて口調変わっちゃって、なんか申し訳ないなぁと鉄平は思った。


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