4 復活、魔剣ちゃん
「ど、どうだ調子は」
「めっちゃうまいが?」
「……自分で考えた策とはいえ、流石に元気になり過ぎでは?」
卵粥を作って持って来ると貰い物のクッキーは全滅しており、少しだけ元気を取り戻したような彼女が力なくソファに座っていた。
この時点で人間ではありえないの回復力に驚いていた訳だが、ここからお粥を頬張って行くにつれてみるみる血色がよくなって……そして今、完食した。
「いやーうまかったの。そして生きていくのに問題ない程度のエネルギー補給完了じゃぁ! ワシ大復活!」
立ち上がりガッツポーズする剣の女の子(過小)。
「ふははは! どういうつもりかは知らんがお主はワシを助けようとして成功したのじゃ! もっと喜べ人間!」
「あの、夜遅いし壁もそこまで厚くないから、ちょっと声のボリューム下げてくれね?」
「あ、ごめん」
そう言ってちょこんとソファーに座り直す剣の女の子。
(……態度デカイのに滅茶苦茶素直じゃん)
「あとこの国じゃ飯食った後は手を合わせてご馳走様でしたって言うのがマナーだ」
「? ごちそうさまでした」
(え、滅茶苦茶素直じゃん……)
ファーストコンタクトは最悪で、普通に態度もデカイのだけれど。
それでも先程までの弱った姿やこの素直さ。
そして元気になった今でもこちらに危害を加えてくる様子も無い。
(……コイツ、マジで危険な感じしないな)
まあ安全であるに越したことはないが。
色々な意味で安堵する鉄平に、剣の女の子は言う。
「そんな訳でボリュームは落とすがワシ大復活じゃ」
改めて満面の笑みを浮かべてピースサインを向けてくる彼女に、鉄平は問いかける。
「元気になったのはマジで良かったよ。それはほんと良かった……で、元気になったお前にいくつか質問してえんだけど良いか? 早速で悪いんだけど」
「うむ、構わんぞ。お主はワシの恩人じゃからの………いや、そもそもお主に何かをされたからああなったと思うんじゃが……これお主、命の恩人とかの前に加害者ではないか?」
「いや、俺マジで何もしてねえよ。なんか剣を抜かねえといけない気がして抜いた。やった事なんてマジでそれだけなんだ」
「ふむ……多分じゃけど嘘ついとらん気がするしのぉ……うん、多分お主嘘付いてないの。だって助けてくれたし」
そう言って再びぱーっとした明るい笑みを浮かべる。
「じゃあお主はやっぱり命の恩人じゃ! じゃからワシの聞きたい事は後回しじゃ! 何でも聞いていいぞ!」
(素直! そしてちょっっっっっっっろぉッ!)
益々脅威レベルが下がっていく。
もう完全に人畜無害だ。そんな気がする。
そしてそんな彼女だからこそ、ありがたい事に質問権は取れた。
……今後どうするべきか。その判断をする為にも聞けることは聞いておきたい。
「で、何が聞きたいのじゃ?」
「まず剣の姿で突き刺さっていたお前は一体何が目的でこの世界に来たんだ。俺の体を乗っ取れていたら一体何をするつもりだった」
「え、普通に世界侵略じゃが?」
(……コイツ言う程人畜無害か?)
なんだか雲行きが怪しくなってきた気がする。
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