第11話 A{0,0} ウサは魔法少女になる


 第1話の横ツインテールがウサです。

 宇佐美ウサミ 貞美サダミ


 シナンと同じ学年。

 モエ達の1個上、1年先輩


 好きな食べ物:駅弁

 住居:高等部に進学してからは学校の寮で一人部屋の暮らし。

 時を掛ける魔法少女


——TIMES_A{0,0}—— 

 2022年2月14日(月)16:03

——宇佐美ウサミ 貞美サダミ

——通称:ウサ  中学2年生、14歳

——ウサ視点

 


 学校からの帰り道。


 明らかに直接帰る道から逸れているが、それは細事だ。

 帰りにホームセンターに寄っていろいろ見て回った。


 下校途中に制服のまま、うろうろするのはこのましく無いという人もいるが、文化祭のときなどは普通に制服で買い物に来ていた。

 ホームセンターは学校とは線路をまたいだ反対側にあり、他の生徒と会うこともそうは無い。

 それらの理由もあり、細事であり、私の正義的に問題無いだろうと判断しての行動だ。


まぁ、寮までは学校からほんとすぐなのだからいったん寮に帰るという手もあるのだが、何故か学校帰りにそのまま来てしまった。


急がなきゃという直感が働いてなのか……。

 

 結局ホームセンターでは、買いたい物は見つからないので帰ろうと決心し、今の自宅である寮へ向かう。

その道程どうていの事、クラスメイトを見かけた。

 確か、東野さんだったかな。

 漆黒の髪の長い子だ。

 

 彼女もホームセンターの帰りかなと、こんな偶然もあるのかと、何の気なしに後を付けた。

 というか、帰り道がそっちなのである。


 架道橋ガードの下をくぐり、線路を渡り、学校の方に向かう。

 学校に戻るのかな……。


 少し歩いたところ、東野さんは公園に入って行った。

 小さな公園だ。

 子供連れの母親で賑わっている公園だと記憶している。

 私も公園へと入る。

 

 その公園中では二人の人物が運動をしていた。

 珍しいことに、公園内には、その二人しかいなかった。

 小さい子供やその保護者たちは、誰もいなかった。


 『ボール遊び禁止』の看板が出ているが、二人はチャージ姿でバレーボールをしていた。

 見た感じ1年生かなと思った。

 そして、うちの学校のチャージだ。

 ってことは後輩だね。

 

 あれ、扱っている物がバレーボールじゃない……。

 なんだろう、あのバドミントンの羽を大きくしたような物は。

 まぁ、ボールじゃないから『遊び禁止』の看板が出てても問題ないのか。

 

 危険性について考えてみたけど、まぁ、今、公園に入って行った東野さんしか公園の中には人はいない。

 小さい子などもいないし、細事であり、私の正義的に問題無いだろうと、そんなことを考えたところ、って、あれ、そういえば東野さんどこ行った?

 

 周りをきょろきょろと見回ってる時、二人の後輩のうち一人から叫び声が聞こえた。

 

「キャー、なんですのあれ? チキちゃんお逃げになってー」


 何事かと思い、私は声のしたほうへと注意を向けた。

 

 チャージ姿の後輩の生徒二人が見たことも無い不気味な生物、3匹の赤肌鬼の怪物モンスターに、今にも襲われそうになっていた。

 なんだこれ?

 なんだこれは、と思ったけど、私は助けなければと思った。

 が、どう見ても自分の手に負えないと思った。

 しかし、助けを呼びに行けば、その間に二人の少女がやられてしまうと直観的に思った。

 

 そんなあたふたしているときに、赤と白のしましまになっているシルクハットをかぶり、首に同じく赤と白のしましまのリボンを付け、サングラスとキセルを装備しているワシが宙に浮いているのを見た。

 その生物は話しかけて来た。

 

 なんだこれ?なんだこれ?

 

「あの怪物モンスターをノックダウンするために、ワシとコントラクト契約して、魔法少女にならないか?」

 

 なんだこれなんだこれ、と思っていると、そのような謎の言葉を掛けられた。

 緊急事態であり、迷ってる場合では無いと、私の正義感が私の心に訴えかける。

 なので迷わず、私は襲われている二人の少女を助けるために、浮いてるカラフルシルクハットを被った喋るワシの言う通りにした。

 魔法少女になると決めた。

 

「魔法少女になります」


「決断が速いね。良いジャスティスだよ」


 私の格好が変わった。

 変身したのだと認識した。

 力がみなぎって来た。

 単純に20倍くらい強くなったのでは、と感じた。

 

 私はすぐさま、赤肌鬼の怪物モンスター達の前に躍り出て、殴りつけた。


 

「サダーミ、クロウを使え、爪だ、イーグルクロウだ」


 謎のワシが私に助言を言う。

 あのワシはガイド役なのだと理解する。

 

「イーグルクロウ?」

 頭の中に、何かが呼び掛けられる。

《 スキルポイントを10を消費して、『イーグルクロウ』を取得できます。

 現在のスキルポイント 30 Y/N 》

 

 何これ、どうなってるの??

 

「サダーミ、イーグルクロウのスキルを取得するんだ。

 イーグルクロウは基幹きかんスキルだから、必ず必要になる」

 

 私は、謎のワシに言われるままに、スキルを取得しイーグルクロウを使う。


「イーグルクロウ!!」

 私は掛け声とともに、指から伸びた爪で赤肌鬼の怪物モンスターを切り裂く。

 

「サダーミ、とどめに、ガンファイヤーを使うんだ! ガンファイアーも基幹スキルだから取るべきだ」


《 スキルポイントを15を消費して、『ガンファイヤー』を取得できます。

 現在のスキルポイント 20 Y/N 》

 

 またも頭の中で、何かに呼び掛けられる。

 ガンファイアーのスキルも取得する。


「ファイヤー」


 助言通りにおこなうと、大きな西部劇に出てくるような銃が発生し、私の掛け声とともに弾丸が発射され、赤肌鬼の怪物モンスターを滅ぼす。

 

「うむ、グッドジョブ。計算通りだよ」


 続いて2匹目もイーグルクロウやガンファイアーを使い打ち倒す。

 さらに、3匹目も倒そうと思ったけど、3匹目は倒されていた。

 

「どうやら、向こうの部門の魔法少女がやっつけたみたいだな。あの者はずっと前から魔法少女だったようだ」


 少し離れたところに、宙に浮いているパンダの子供と思わしき生物と、姿が変わっていた東野さんがいた。

 東野さんの姿は……キョン……。

 

 怪物モンスターをすべて打ち倒すと、何を言うでもなく、東野さんとパンダは去って行った。

 人が増えて来て、だれかが、通報したのか救急車の音も聞こえてくる。

 

「サダーミ、ワシらもここを離れるよ」


 赤肌鬼の怪物モンスターに襲われていた二人の少女も無事だったようなので、そのワシの助言の通りにこの場を離れた。


 私たちは人気ひとけの無いところに移動した。

 辺りを確認し変身を解いた。

 


「さて、簡単な説明をしておく。ワシの名前はサム。妖精みたいなものだ」


 そのワシは頃合いと見計らい、語り始めた。

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