【世界異次元旅行記】ミスターロコモーティヴと満月の花婿

サトウ サコ

プロローグ『洞穴の渇望』

 草原に、こっそり掘られた洞窟どうくつが。

 耳をすませば、奇妙な音。


 ザクザク キーキー コンコン スイスイ 


 聴こえてきたなら、その穴こそ、《創作の精レプラホーン》の作業場さぎょうじょう

 日がな一日針仕事。


 カンカン ジョキジョキ ギーギー コツコツ


 おもしろそうな その穴は、決して中をのぞかぬよう。

 カレ等はとっても臆病おくびょうだから。


 トコトコ サクサク コロコロ カチカチ


 《創作の精レプラホーン》は作り続ける。

 誰かが認めてくれるまで。


『来い 汽車よ 来い 来い 来い

これは真紅しんくきぬくつ

これはスミレのジャケットじゃ

来てくれ 来てくれ ワタシの汽車よ

ワタシの我が子を羽織っておくれ』

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